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億万長者の夢

探偵B:「なあ、もし1億円もらったらどうする?」

後部座席で暇そうに頬杖をついていた探偵Bが運転席の探偵Aに話しかけた。
退屈な張り込みはすでに5時間を超えている。対象者の男は相変わらずラブホテルから出てくる気配がない。

探偵A:「1億円か…そりゃあもう、豪遊するしかないだろ!高級車を乗り回し、毎晩のように高級クラブでシャンパンタワーだ!」目を輝かせながら答えた。

探偵B:「そんな陳腐な夢でいいのか?もっと他にないのかよ」鼻で笑った。

探偵A:「じゃあ、お前はどうするんだよ?」少しムッとして聞き返した。

探偵B:「俺はな、この探偵事務所を買い取ってお前をクビにする」ニヤリと笑う。

探偵A:「はあ!?ふざけんなよ!」思わず怒鳴った。

探偵B:「そして、残った金で世界一周旅行に行って世界中の美女と…」笑いながら続けた。

探偵A:「おいおい、妄想が暴走しすぎだろ」呆れたように言った。

探偵B:「…って、あれ?対象者が出てきたぞ」急に真顔に戻り呟く。

探偵Aは慌ててカメラを覗き込んだ。
対象者の男が若い女と腕を組んでホテルから出てくるところだった。

探偵A:「よし、尾行開始だ!」エンジンをかけ車を急発進させた。
探偵Bもシートベルトを締めカメラを構えた。

二人の探偵は対象者が運転する高級車を追跡し、無事全ての証拠写真を撮ることに成功した。

依頼者への報告を終え事務所に戻ったのは深夜だった。

探偵A:「あーあ、疲れた」ソファに倒れ込んだ。
探偵Bも隣に座り大きく伸びをした。

探偵A:「それにしても1億円あったら本当に何するんだろうな」と呟くと

探偵B:「さあな。でもまずはこの事務所を買い取って…」ニヤリと笑った。

探偵A:「だからそれやめろって!」
二人の探偵は大笑いした。

その時、事務所のドアが勢いよく開き所長が血相を変えて駆け込んできた。

所長:「大変だ!大変だ!」
探偵A:「どうしたんですか所長?」二人の探偵は驚いて尋ねた。
所長:「…宝くじ、当たった…」

「え?」

二人の探偵は顔を見合わせた。

所長は震える手で宝くじの当選券を見せた。
当選金額は、なんと1億円だった。

二人の探偵は言葉を失った。
そして、同時に同じことを思った。

(…クビ?)

二人の探偵は顔面蒼白になっていった。


終わり


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