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映画 とんび
不器用だがまっすぐで卑怯なことや曲がったことは絶対にしない“町の名物男”ヤス。
昭和から平成、そして令和へ。
これは小さくてとても大きな家族の物語。
内野聖陽さんと佐藤健さんの親子、“日曜劇場とんび”はこの映画の9年前、2013年。
父親と同じ年齢になって観るとんび。
“ありがとう”
父は元気にしているだろうか?
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NHK(堤真一さんと池松壮亮さん)、TBSでドラマ化された重松清さんのベストセラー小説を瀬々敬久監督が映画化。
“とんびが鷹を生んだ”
物語は昭和37年、備後市(広島県福山市辺りをイメージとした架空の町)からはじまる。
瀬戸内海、海がすごく綺麗で穏やかな町。
そこに一人の騒々しい男が暮らしている。
市川安男(阿部寛さん)、みんなからは“ヤス”と呼ばれている。
尾藤(宇梶剛士さん)が社長を務める運送会社でトラック運転手として働くヤスはいつも明るく元気なお祭り男。
そんなヤスがここ最近、特に機嫌がいいのは妻、美佐子(麻生久美子さん)が妊娠したからだ。
幼い頃に両親と離ればなれになったヤスは親の愛を知らずに育った。
そんなヤスにとって家族は誰よりも特別なもの。
自分の家族がまた一人増える、それが嬉しくて仕方ないのだ。
生まれたのは男の子、名前は“旭(アキラ)”と名付けた。
三人での新しい生活のスタート、家族のために毎日元気に働くヤス。
そんなヤスにアキラを連れた美佐子が忘れ物を届けにくる。
それは不幸な事故…それは誰のせいでもない、突然の出来事。
ヤスとアキラは二人になってしまう。
実直で豪快、典型的な広島男。
さらに親というものを知らないヤスははじめての子育てに四苦八苦する。
アキラの保育園での喧嘩、相手を殴ったアキラに怒るべきところを“よし!”、よくやったと褒める始末。
喧嘩相手の友達を迎えにきた母親を見たアキラが拗ねるとどうしていいか分からない。
“なぜ、僕にはお母さんがいないの?”
疑問に思うアキラに
“自分のせいで母さんは死んだ”
ヤスはアキラに嘘をつく、その方法しかヤスには選択肢がなかった。
そんな二人が暮らす町の人々は個性豊か。
ヤスが姉ちゃんと呼び慕う“たえ子(薬師丸ひろ子さん)”、ヤスを小さい頃から見守ってきた“海雲和尚(麿赤兒さん)”、その息子で幼なじみの“照雲(安田顕さん)”、その妻の“幸恵(大島優子さん)”、ヤスが働く運送会社の“尾藤社長”、“萩本課長(尾美としのりさん)”、たえ子の店の常連“トクさん(宇野祥平さん)”…。
冬、寒い夜の海で海雲和尚はアキラにいう。
“背中を暖めてくれる母親はいない、でも、町のみんなが暖めてくれる”
“ヤス、お前は海になれ”
母が病気で亡くなり、父親は東京に仕事を探しに行くといって蒸発、残されたヤスは叔父夫婦に育てられた。
そんな孤独を抱えたヤスに、いつも町の誰かが寄り添ってくれた。
“アキラはみんなの子供じゃけんのう”
アキラは町のみんなに愛され、守られ、不器用な父親の背中を見てまっすぐに育つ。
高校生になった“アキラ(北村匠海さん)”は野球部に。
後輩に体罰、“ケツバット”をしたアキラにヤスは
“暴力と喧嘩は違う”
と怒る。
“お父ちゃんが死んだらよかったんじゃ!”
詫びにケーキを買ってきたり、自分で自分を殴ったり。
相変わらず不器用なヤスだが、アキラはそんなヤスを理解し、大人になっていく。
海雲和尚との別れもアキラを強く、大きくした。
自分がどれだけ周りの人たちに大切にされてきたか、人との繋がりの大切さを思い知る。
アキラは高校を卒業、東京の大学へ進学することに。
最後までヤスを心配するアキラをヤスは涙で送りだす。
アキラは大学を卒業後、東京の出版社に就職。
シビアな“編集長(豊原功補さん)”の下で社会の荒波に揉まれながら都会で一人暮らす。
ヤスは相変わらず備後の町で気ままな一人暮らし。
酒に呑まれて不摂生な暮らしをしている。
…寂しいのだ。
アキラは同じ出版社で働く“由美(杏)”と結婚を約束、ヤスに会いに行くことに。
由美はシングルマザー、前の夫との間にできた一人息子の“健介”がいる。
そんな由美、健介をヤスや町のみんなは暖かく家族として迎え入れる。
ヤスは健介、由美とアキラの子供たちみんなを分け隔てなく愛した。
親子の絆、家族とは、決して血の繋がりだけではないのだ。
“僕に恨みを抱かせなかった父を、誇りに思う”
これはひとつの、小さくてとても大きな家族の物語。
物語のなかでヤスは上京、幼い頃に蒸発した父親に会う。
父親は危篤状態、もう長くはない。
死ぬ前にどうしてもヤスに会いたい、その願いを叶えてやりたいと義理の弟、“島野昭之(田中哲司さん)”から連絡を受けたのだ。
たえ子が捨てた娘“泰子(木竜麻生さん)”がたえ子を訪ねて備後の町にやってくる。
たえ子には農家に嫁ぎ、そこでの暮らしが辛くて逃げ出した過去があった。
そんな母親に結婚を控えた娘が会いたいと訪ねてきたのだ。
自分を捨てた父親、母親を憎んだことももちろんある。
けど、父親、母親になり、その立場になって分かること、理解できることもある。
“命をくれてありがとう、生んでくれてありがとう”
ヤスも、泰子も感謝の気持ちを伝えたかったのだ。
どんな親でも、子供にとってはかけがえのない存在。
人生は後悔ばかりだ。
親になってはじめて分かる思い、子供に気づかされる思い。
後悔しない人生なんてない。
自分でいえば、あれほど憎み、嫌いだった父親。
ああはなるまいと子供ながらに誓った。
そんな父親のことをたまに考えることがある。
喧嘩をするときもあるが、家族を、みんなを大事にしたヤス。
誰よりもまっすぐで正直に生きた人生、それはとても幸せな人生だったはず。
日曜劇場のとんびといえばやっぱりましゃ兄(福山雅治さん)が歌う両親への感謝の気持ち
“誕生日には真白な百合を”
これが名曲で…めちゃくちゃ泣けるんですよね。
内野さんと佐藤健さんのとんびも良かったけど、阿部寛さんと北村匠海さんのとんびもいいです!
“仏の力、恐るべし”
海雲和尚と照雲、幸恵夫妻が最高!
安田顕さんナイスです、暖かい。
海雲和尚役の麿赤兒(まろあかじ)さん。
今年二月で80歳、俳優、舞踏家、演出家として第一線で活躍し続けている大御所は大森立嗣監督、大森南朋さんのお父さんなんですよね。
とんびは重松清さんの“自伝(実話)”という説と“フィクション(作られた物語)”という説がある。
家族など周りの人々、出来事、重松清さんの人生の一部を織り交ぜて作った物語…というのが主なフィクション説。
あまりにリアルなので実話だという人、これは重松清さんの作風であって作られた物語、エンターテイメントなんだという人。
観た人、読んだ人それぞれが考え、想像し、様々な意見をもつ。
そこが映画、ドラマ、小説の面白いところだと思う。
ナショナルの感じとか懐かしいなー、とんびで再現された昭和のファッション、レトロな世界。
近所にあったくすんだボンカレーの看板を思い出した(笑)
広島のUMA、ヒバゴンブームは…知ってるけどリアル世代ではないです(自分が生まれる11年前とかの話!笑)
もうすぐ父の日、普段照れくさいことを言いやすい日です(母の日も同じく)
せっかくなので、伝えられる人は伝えられるうちに沢山の感謝、気持ちを是非!
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