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チェストの奥のラブレター ep.1

彼とは26の夏に出会った。

友人に誘われて行った飲み会。そこに彼は居た。黒縁メガネに、黒が少し薄くなったTシャツ、ボタニカル柄の半パンにサンダルというシンプルでラフな格好。

流れるような目と艶のある黒髪の短髪。分厚い唇に低い声。でも、笑うと声がちょっと高くなって、目尻が下がる。すこし日焼けをしている肌を持つ、大人の男だった。

「顆粒出汁」

このワードが、私が男に惚れたポイントだと言ったら世間は笑うだろうか。顆粒出汁とは、”ほんだし”のような鰹節や昆布などの素材原料と塩などの調味料が細かく砕かれて混合されている、アレだ。よくお母さん方がよく使う料理のお供の調味料だ。

会話の中で何故か料理の話になったのだろう。詳しい話の内容は覚えていないが、とにかく彼は「顆粒出汁」の話をした。変な男だなと思った。飲み会で初めて出会った女性と話すのに「顆粒出汁」というワードを使うなんて。それと同時に、直感で「この男だ」私はそう思った。

その日の飲み会はそのままお開きとなった。だが、まんまとハートを討たれてしまった、この私だ。これまでの引っ込み思案の私とは打って変わって自分からアクションを起こすことを決意したのだ。

この前の飲み会の幹事で中学校からの友人でもあるミヤに早速相談をしてみることにした。実は、ミヤも飲み会に来ていた男性側の幹事であるタクヤくんが気になっていると聞いていた。

「ねぇ、飲み会に来てたあの人のこと覚えてる?あの、黒髪で・・・メガネかけたあの人。私、あの人のこといいなって思ってて。だからさ、また会いたいなーって、思って。今度は少なめの人数で。ミヤの気になってるタクヤくんと四人で今度飲まない?」

ミヤは、私に気になる人ができたことを喜んでくれた。同時に後日の飲み会を快諾してくれ、早速タクヤくんに連絡を取ってくれた。タクヤくんと私の気になる人は同僚らしく、スムーズにセッティングが進んだ。

ミヤと私、ミヤの気になってるタクヤくんと私の気になる人の四人で飲み会の日程が組まれたのだった。

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ブルーダイバー
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