演奏が上手いということ㉒
今日から木管楽器の難しさについて書きたいと思います。
もちろん木管楽器が特別だ、ということではありません。
本当の上級者の上の方で簡単な楽器などありませんから。
ピアノなんて逆に難しいと思います。
層が厚い分、その中で傑出した存在になるのは至難の業です。
ただ木管楽器の場合、中級者までには成れたとしても、「中の上」すら難しいと思います。
まず耳が良くないとだめでしょう。
まあこれはどんな楽器でも同じで、聴いただけで良く分かります。
下手くそなオケって、やはり音程の悪い人がいるんですよ。というか、数としてはそういうオケが多い。
良く勘違いしている人が多いのですが、ピアノのような基本正確な音程の出る楽器は元々オーケストラには存在しません。
ピアノは新しい楽器なので、本来オーケストラにはない楽器であり、編入楽器の一つとしての位置づけでしかありません。
確かに絶対的に正確な音程というものはありません。オケによって標準音違うし。今の標準音はA=440Hzですが、実際にはこれより高いオケも多いですし、昔はもっと低かった、というより時代の変遷と共に高くなってきています。
ただ相対的な音程であれば、おおよそ正しい音程は間違いなくある(おおよそ、というのは平均律が必ずしも正しいとは言えないからです)。
ただ現実問題としては平均律が一般的であり、ここから外れた音は基本的に間違った音程です(ソリストであれば表現の一環としてずれた音を使っても間違いとは言えない、というよりそれが正しい)。
オーケストラの基本編成は管楽器、弦楽器、打楽器、しかも大昔は金管はTp.とHr.だけでした。
音程の安定した楽器が一つもない。
だから下手なオーケストラだと、音程がずれる人が結構出てくる。
というか、複数で弾くと、音程の悪い人の音は協和しないから目立つんですよ。完全1度の音でずれた人がいれば当たり前に目立ちます(人間が演奏する以上当然僅かな差異はあり、むしろそれが音に深みを与える、ということは言うまでもありませんが)。
でもいくら耳が良くても、許容範囲内の音程が出せるだけの力が無ければそれは宝の持ち腐れ。
そうするとやはり「技術」が重要なものとなってきます。
で、木管楽器がきついのは、みんな正確な音が出ると思っているから。
弦楽器の方が正確でないと思い込んでいる。
実際には木管楽器の方が正確な音程は出しにくい。
でも、その先入観のせいで「下手」に聴こえやすいんですよ。
明日は何故木管楽器で正確な音程が出しにくいのか、について書きたいと思います。