昭和歌謡⑪
今日は「昭和歌謡」というジャンルがあたかも存在するように考えてしまう理由について考えてみたいと思います。
まず一つは簡単な理由のように思えます。
「昭和歌謡」として音楽を括るからです。
この人は何を言っているんだ、と思われるかもしれません。
例えば「クラシック」や「ジャズ」というと、共通認識的なものがあって、もちろん、その中でああだこうだ論争はあるにしても、それなりに共通認識があった上での論争になっています。ただこれを裏返すと論争が出来るだけの「基盤」があるということです。
たぶん「これは昭和歌謡だ」と言っても論争のしようがないんですよ。
強いて言うなら、戦後の曲しか「昭和歌謡」と言われないこと位でしょう。
呼ぶ方がいないとは限らないし、厳密な定義がある訳ではないので、別にそう呼ぶ方がいらっしゃっても否定は出来ないでしょう。
ただ、共通認識とは言えないまでも、戦後の歌謡曲は欧米の影響が急激に強くなったため、戦前のそれとの間には大きな断絶があるから、そこまで「昭和歌謡」と呼んでしまうと違和感を覚える方が多いと思います(もちろん完全な断絶ではなく、思想統制が進む以前であれば、戦後の作品につながるものもあったと考えられますが)。
ただ戦後の音楽で何を「昭和歌謡」と呼ぶかというと、人によって思い描くものは違ってくるでしょう。
当たり前ですが、昭和に「昭和歌謡」などという人はいなかったでしょう。わざわざ「昭和」なんて付ける意味がない。
その言葉が出てきたのは、おそらく平成になってからの話。
で、いきなり平成になった途端「昭和歌謡」が出てくるとは考え辛いから、おそらくは長くても20年だかそれ位の話でしかない。
やはりこういう新しい概念だと共通認識が生まれにくい。ある程度それを醸成させるには時間が必要でしょう。
それが「昭和歌謡」というジャンル分けが難しい理由の一つかと。
少し脱線かつ、話が長くなってしまったので、今日はこの辺にして、また明日にでも、他の理由について考えたいと思います。
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