古い音・古くない音⑥

大体クラシックで使われるような主だった楽器については書いたような気がするので、次はポピュラーの楽器について書きたいと思います。

で何について書こうかと思ったのですが、ピアノでは被るしなあ、と思っていたりもしたのですが、自分が元々はベース屋だったことを忘れてました(笑)。

もちろんこのベースとは「エレクトリックベースギター」を指しています。ポピュラーで使われる頻度は「ベース」と呼ばれる中で一番多いでしょうから。

この楽器も基本的には古くなりにくい楽器です。どちらかと言うと表に出る楽器ではない、ということが大きいと思います。

ただ実際には表に出る場合もありますね。

表に出たからと言って、古い音になるかと言うとそれは違っていて、例えばJaco Pastoriusの音は古くならないですよね。

唯一無二の存在である、というのも大きいですがそれだけではありません。

ハーモニクスの多様は例外として、奏法自体がこれまでと違っているということではないからです。

ハーモニクスの多様は他にあまりやる方がいないから、どちらかというとJaco Pastoriusの音、とでもいうような感覚で捉えた方が良いでしょう。

ただ、やはり時代を感じさせる演奏、というのもあります。

スラップを多用した演奏です。一時期の日本では猫も杓子もスラップ奏法、という時代があり、やはりこれには時代性を感じます。

もちろんスラップだからという訳ではなく、その奏法で弾かれるパターンがワンパターンだったからです。

サムとプルでオクターブ違いの音ばかり弾いていたら聴き手側からしたら飽きるのは当たり前。単なる自己陶酔の世界でしかない。

スラップが多用されているかが問題ではなく、あくまでもその使い方の問題です。

例えばSTINGの「If You Love Somebody Set Them Free」でDarryl Jones、曲を通してスラップで弾いているのに、あまり違和感を感じません。

酷い本になると、最後のほうだけスラップで弾いていると書いてある位ですから(笑)。それほどまでにスラップ感がありません。ほぼほぼサムだけで弾いているからです。

プルが最後の方に出てくるだけだから、そこの部分が際立つんですよね。上手い使い方だと思います。逆にこの部分があるからスラップの方が楽、というのもあるとは思いますが。

凡庸な人が猫も杓子も的にありきたりなフレーズを弾くのとは次元が違う印象です。

だから今ではそういうスラップスラップした曲、あまりないですよね。

廃れたと言ってもいいでしょう。だからそういう演奏には「古さ」を感じるんですよ。

逆に今聴くと新鮮に感じるかもしれないけど(笑)。

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blue but green
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