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あっちっちの湯


なぜこうも熱いのだろう。
宮城の温泉に入るたびに思う。
まあ冬は凍結する地域だから、42度から43度はデフォルトなのかもしれないが、一般的な入浴施設でも温度がそれくらいのような気がする。

秋保温泉の華の湯に一泊した時、3つある風呂の全部が熱くてこじんまりで、あまりの熱さに露天に逃げたら露天風呂も熱くて汗だくだくででた。まさかまだ肌寒い季節に汗をかくとは思わずフーフー言いながら休憩スペースでジュース片手に休んだのだが、全部熱いとは恐れ入った。

だがしかし、まだそんなのは可愛かったのである。場所は遠刈田温泉、ここのあつ湯はなんと45度くらいある。日によってはもうちょっとあるんじゃないか?!と思う温度である。ぬる湯で43度くらいだから全然ぬるくないのだが、あつ湯は45〜46度くらいなのでもはや地獄の釜である。

ひ、ひいいいっ


そこに猛者の人たちははいる。
私は恐る恐るあつ湯につかった。
「あっっつ!!!」
そんな感情は一瞬でなくなる。
なにせ熱すぎて体が麻痺するのである。

肩までつかればあら不思議、まさに不感の湯である。しかもでたあともぽかぽかは長らく続く。
一度入るとこれが癖になる程気持ちがいい。
私が入ったのを見て、観光客であろう一人がぬる湯からあがり、あつ湯にやってきた。

きたまえ、きたまえ。こちらは最高だぞ。

場所をあけて待っていたら、その人は足をつけた瞬間「あっっつ!!これ人が入る温度じゃないよ!」と言ってぬる湯に戻ってしまった。「あの人よく平気だわ」「いや、地元の人じゃない?慣れてるのよ。」そんな会話が聞こえる。違うんだ、私も観光客の一人なんだ。慣れてるわけではなく麻痺しているだけなんだYO。吹き出す汗をシャワーで流してからあがる。私も最初ボイラーがいかれてるのかと思った。いかれているのではなくこういう風呂だと気づいてからはその熱さにまさにしびれてすでに三度行っている。


きっと世の中にはまだ私の知らぬ温泉があるのだろう。あるに違いない。お湯なのか汗なのかわからぬ水分をふきながら夏の暑さが可愛く思える時間を過ごした。
ぜひ我こそは地獄の鬼なり、という人はいってほしい。地獄の釜体験はこちら。


Photo by 重村俊雄
炎が燃え上がるクレーター内部「地獄の門」のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20240739200post-51727.html

illust by なのなのな
釜茹で 中年男性
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=22453234&word=%E9%87%9C%E8%8C%B9%E3%81%A7%E3%80%80%E4%B8%AD%E5%B9%B4%E7%94%B7%E6%80%A7

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