【特別記事】9月1日~講演会の準備を始めて、私の身に起こったこと~
9月1日。
夏休みが終わり、始業式が始まる日。
この日は子供の自殺数が一番、多くなる日。
内閣府が作成した平成27年度版自殺対策白書のグラフを見ると、
その数は明らかに突出している。
このグラフにおいては120人以上となっている。https://www.mext.go.jp/content/20200824-mext_jidou01-000009294_011.pdf
なんとなく数字だとイメージがつきにくいかもしれないが、
20人1クラスずつ6学年の学校の全校生徒が一気に消えると想像してほしい。
私の母校の小学校の規模がそれくらいだったので、
それくらいのインパクトのある数の若い命がこの世から
去ってしまったと思うと、形容しがたい胸の痛みが嫌に残る。
さらに加えて言うなら、日本人全体の自殺数。
平成10年度に3万人を超え、それが14年続く。
そこから減少はするが、2万人を超える人々が
依然として自ら命を絶つ。
それは単純計算してしまうと、17分に1人。
他の数を引き合いに出してしまうが、
東日本大震災のときの死者が1万5900人なので
それ以上の人間が、毎年、自らの手で亡くなる。
その動機・原因は以下のようになる。
健康問題
経済・生活問題
家庭問題および勤務問題
この中の健康問題に関してはさらに以下が大半となる
うつ病による病気の悩みや影響
身体的な病気の悩み
平成27年度においては、この二つが全体の約4分の3を占めていたそうだ。
https://www.mhlw.go.jp/content/h28h-2-2.pdf
うつ病って、人を簡単に殺してしまうんですよ。
私はその恐怖を身をもって体験してきたんです。
7年。7年経ちました。
よく死ななかったと思います。
本当に。
首吊ってますからね、1回。
失敗しましたけど。
実はうつ病で死ぬ可能性が一番高いタイミングって、
体力がちょっと戻ってきて、動けるようになったときなんですよ。
なぜかっていうと
身体は元気でも、心は元気じゃないんですよ。
死にたいっていう思いは消えてないんです。
こいつに名前付いてて、「希死念慮」っていうんです。
こいつがね、ずっと頭の中に直接ささやいてくるんですよ。
「死にたい」「消えたい」って。
布団の中でも、ご飯食べてても、散歩してても。
通り過ぎる車を見て、一歩踏み出せば楽になれるのにって
思わされちゃうんですよ。
あたかもそれが自分の意志かのように思わされてしまう。
だけどこいつの実体は本人の意志じゃないんです。
うつ病という名の悪魔が見せる幻想。
現実的に言うなら、咳が出るとか、熱が出るとか、骨折ったとか。
うつ病の症状の一種。
でも、そのこと教えてくれる人なんていませんから
誘われるかのように、吸い寄せられるように、死んでしまうんです。
うつ病を言い換えるなら、それは絶望ではないでしょうか。
うつ病は恐ろしいんだ。
単なる落ち込みではない。
自分が自分じゃなくなるんだ。
全てが灰色に変わる。
生きる活力を失って
今まで楽しかったことなんて一つもなかったかのように。
身体から温もりが消えて、
自分だけが暗闇の中に閉じ込められたかのように、
孤独になってしまう。
だんだん頭も回らなくなる。
うつ病ってのは脳機能を奪ってくるんだ。
まともな判断なんて出来ないと思った方がいい。
逆によくないこと、悪いことばかりで充満する。
それがループする。
四六時中、頭の中を駆け巡る。
さらに仕事なんてやめてみろ?
社会的役割を失うことになる。
それでいて周りはゆっくり休めとか
なにもしなくていいとか言いやがる。
役割を失うと人間はどうなるか?
自己価値観が揺らぐ。
存在意義を失う。
尊厳が大いに傷付く。
ここまで来ると
なぜ自分が生きているのか
理由を失う。
絶望とはこのことだろう。
哲学者・キルケゴールは絶望を
「死に至る病」
と表現した。
絶望とはすなわち、
生きながらにして、死んでいる状態。
日光も辛くなる。
お風呂も入れなくなる。
ご飯も美味しくない。
だけど、生きてる。
私はこの恐怖を7年間通して
身に染みるほど感じてきた。
誰からも理解を示してもらえず、
拒絶され、否定され、7年。
よく生きた。
私は、よく生きた。
この7年、黙って耐えてきたわけではない。
生き抜く術を、ひとつ、ひとつ掴んできた。
私はこれを1人だけの財産として隠し持つわけにはいかない。
これで救われる命があるなら、全てを開放して、伝播させないといけない。
それが宿命なのかもしれない。
私が生き残ったことと、失われてきた命を
無駄にしてはいけない。
命を繋がないといけないんだよ。
現代の医療福祉は先人たちの知恵の結晶。
治療に必要なことが凝縮されてる。
だけど、それだけでは足りない。
懸命に通院して、律儀に薬を飲んで、苦しみながら思考回路を書き換えて、
吐き出すように話して、布団で横になるのでは、足りない。
それも圧倒的に。
いわばこれらは食事で言うところの、炭水化物・タンパク質・脂質などの
エネルギーになる栄養素を補給する行為。
一見、エネルギーが補給できているからよいのではないか?
と思うが必要十分な要素を満たしていない。
これら3大栄養素には、必要になるものがある。
それは、微量栄養素とされる、ビタミンやミネラル。
これらは人体の機能を正常に保つために必要な栄養素。
エネルギーの変換する潤滑油。
ビタミンやミネラルが不足すると、
なんとなくだるい、睡眠が不足する、イライラするなど
不調が発生する。
医療福祉が3大栄養素だとすると、
ビタミンやミネラルは何に該当するのか?
それはとある著名人が、端的かつ的確に表現している。
現代社会において、文化というものは軽視されている。
あなたは最後に「文化」に触れたのはいつか覚えているだろうか?
それも何かをしながらじゃない。
それを、それだけを享受する時間を、
最後にとったのはいつだろうか?
芸術も文化。
食事も文化。
読書も文化。
片手間に、時間に追われて、スマホ片手に。
これが当たり前になってないだろうか?
効率化の先に、何が残りましたか?
玉ねぎの皮を全て剥いた先が、虚無であるように。
そこに何が残っていますか?
身も心もぼろぼろになった人間ではありませんか?
鏡に映るあなたの顔は、笑顔ですか?
先月に思い立って、うつ病の講演会をすると決めて
会場を予約して原稿を準備していると
当時の恐怖がフラッシュバックする。
でも、だからこそちゃんと伝えないといけないと
そういう使命感に駆られる。
これはやり切らないといけない気がするんだ。
届けないといけないんだ。
ここまで読んで、何か掴めるかもしれないと思った人は
ぜひ私に会いに来てほしい。
絶対に手ぶらで帰すことはしない。
あなたが生き抜く術を
私が持ってるかもしれない。
だから会いに来て。
待ってる。
【講演会情報】
「鬱のココロを覗いてみたら~見えない痛みは確かにココにある~」
日時: 2024年9月14日(土) 19時~20時半
場所: 函館市亀田交流プラザ 小会議室3
講演参加料金: 2,000円
懇親会参加料金:3000円
定員: 25人
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