見直すべき関係性
鬱病が治った。
本当のわたしの思いに気付いた。
新しい人生の一歩を踏み出した。
めでたし、めでたし!
…なんて、人生、そんなに甘くない。
わたしは、大きく変化した。
しかし、周りがわたしの変化に追い付くのは、容易ではなかった。
特に、夫は、鬱病になる前のわたしと知り合って、一緒になったのだ。
鬱病になる前のわたし…それは、自分には価値がないと、無意識だが、信じ込んでいたわたし。
だから、夫の意見に、何か小さな違和感を感じたとしても、気のせいとばかりに、自分の気持ちには蓋をしていた。
夫に合わせておけば、わたしは楽。
夫に任せておけば、わたしは責任をとらなくていい。
わたしさえ我慢すれば、全ては上手くいく。
どんな時も、わたしの根底にはそんな思考があった。
そして、そんなわたしを、人生のパートナーとして選んだ夫は、
当然だと言えるが、自立心があり、決断力、行動力も身につけていた。
周りのことなど気にせず、自分の思いをはっきりと口に出せる人間。
わたしは、自分に欠落したものを持っている夫といると、とても居心地が良かった。
夫もまた、自分と正反対のわたしと居ることは、居心地が良かったのかもしれない。
しかし、わたしは、鬱病になったことで、変化した。
自分の本音に耳を傾けることができるようになった事で
夫への違和感を、決して見逃さないようになったのだ。
わたしは、そうは思わない。
わたしは、そんなことしたくない。
わたしは、あなたの言葉に傷ついた。
…などなど、とにかく、執拗に、夫に言い返すようになった。
驚いたのは夫だ。
夫は従順なわたしを人生の伴侶に選んだはず。
なのに、目の前のわたしは、従わないどころか、攻撃さえしてくる。
今、書きながら、夫が気の毒になってきた。
鬱病になるまでの、約10年間は、喧嘩など、ほとんどした事はなかった。
しかし闘病を経て、わたしたちは、何かとぶつかり合うようになった。
長所と短所は、表裏一体などとも聞く。
決断力があって、自立心があって、頼りになる夫は
なんでも独断で決めてしまう、自分勝手な人。
相手を思いやることの出来ない、冷たい人、鈍感な人。
わたしはそんな風に、夫のことを感じるようになってしまったのだ。
もちろん、それもまた、わたしの思い込みだったのだが、しかし、長い間目を背けていたその関係性に、お互い深く向き合うべき時が来ていた。
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