【森高千里】レッツ・ゴォーゴォー!ツアー 東京2日目 もしもタイムマシーンに乗れるなら
森高千里「レッツ・ゴォーゴォー!ツアー」、東京2日目。オール平日のZeppツアー。でも、自分が観てきた横浜2日間、札幌2日間、名古屋初日のみ、昨日の東京初日、どれも満席で、なんか昭和のロックバンドのツアーみたいだよね。年間100本以上やるバンドいたもんね。平日が普通、みたいな。
とにかくきょうはチケットが全然取れなくて気をもんだけど、先週になってトレードでようやく手に入れたO列センターブロックやや下手(しもて)寄り。N列から1段高くなっているので、ステージの森高さんも、あと、前の人たちの盛り上がりもよく見えた。
ファンクラブでもやたらめったらきょうのチケットが取りにくかったのは、ビデオシューティングが当初から予定されていたからなんだろう、きっと。でも10月アタマから始まった今回のZeppツアー、果たしてどんな成り行きになるのか、チケット売り出し前から森高さんサイドも分かっていたのかどうか、モアベターツアーの後半の盛り上がり(特にオーラスの人見記念講堂のあの祝祭感)が判断材料になるかもしれないけれど、想像するに、「座長」たる森高さん自身の「行ける!」という判断も大きかったのでは。事務所は、ステージから客席の盛り上がりを確認できないもんね。それができるのはバンドメンバーと森高さんだけ。そんな楽屋裏の空気が、今回のオール平日ライブハウスツアーに帰結していったのではないかなと想像してみる。バンドはまだまだ転がっていく。
1都市2日間、オール平日のライブ。キャパは数百人から1200人(なんばは大きいんだね)と幅はあるけど、興行の体裁を整えるのはたいへんだ。コロナ化に1日2公演をやってた森高さんも、きょう、MCで「2日連続はたいへん」的なことを言ってた。空気が乾燥するこの時期、喉の調子を保つのだって簡単ではないだろう。最初から最後まで一身に注目を浴びるフロントマン(マン?)としてのプレッシャーもめっちゃあるに違いない。そこはパーマネントなバンドとちょっと違うところだよね。ソロのアーティストをあんまり観たことがなかった自分としてはそんな想像をする。一朝一夕に培われたものではないにしても、日々どれほどの重圧なのか、ちょっとインタビューしてみたいような。
そんなプレッシャーを引きずって自滅するのか、それともまったき霧消するのか、は、たぶん客席の空気が決める。百戦錬磨のベテランアーティストでも、会場の空気ばかりはいかんともしがたいのではないかと想像してみる。誰が来るかは分からんけんね。
きのうときょうは、同じ街の、同じ会場で、セットもほぼ一緒だったのだけれど、ほんとうに、全然別物のライブだった。私はそれにやられてしまって、2日目が終わってしばらく、この時間までしばらく何も考えることができませんでした。初日が悪いということでは全然なくて、でもなんでこんなに違うのだろう。ライブはほんとおもしろい。レッツ・ゴォーゴォー!ツアーのおもしろいところはまさにそこ。2日両方行かないと語れないんだ。だからあのすごかった名古屋も、2日目に行ってない自分は語る資格を持たないのかもしれない(大げさ?)
ビデオシューティングが入っていることは、森高千里のライブではマイナスにはならない。収録が入るととたんにヘナヘナになるアーティストもいるけれど、森高さんはそこは百戦錬磨でクリア。緊張してたというツイートもあったけど、自分はそうは思わなかったです。最初から、きのうとは別人みたいにふくよかな声が出ていた。これはいいライブになるぞー、って最初からゾクゾクした。結果的に、その予感はプラス方向に覆される。それは客席のパワーのせいだなあと。
森高ファンは古参の人たちが多い。きょうも20代の方が「先輩と一緒に」来てたけど、それと、「きょう初めて森高ライブに来た人」も多かったけど、でも会場の空気をつくるのは、ずっといる歴戦のファンの人たちだ。この方たちが森高さんと1990年代からつくってきた「ライブの流儀」は、2024年のいま、客席にいて、ほんっとうにあり得ないくらいの幸せを感じるほどに、素敵なものをくれる。だから5年間、バカみたいんなって追いかけることを続けている。明日始まる追加公演の申し込みも、忘れないように身構えて待つ自分がいる。
いまのこのライブハウスツアーは、控えめに言って最高です。どんどんよくなる。もう、こんなにライブハウスが良きならずっと続けてほしい。毎週どこかのベニューで森高さんがライブしてる世界線があったとして、それはたいへん幸せなことだと思う。森高さんも案外それを望んでいるんじゃない?
そんなZeppツアーの、この雰囲気をつくったのは、やっぱり古参のファンの皆様が、森高さん本人とつくりあげてきた何かなのだと思う(終演後の3本締め含む。あれは癖になる)。ほんとうにすごい。2019年10月の名古屋でそう思って、それからずっとそう思い続けている自分がいます。私はきょう、あの場所にいられて、ほんとうに自身の幸運を感じました(マジで)。
だからもしタイムマシーンに乗れたなら、いまZeppの会場に来ている、1990年代からのファンの人たちが盛り上がっているあの会場に行ってみたい、混じってみたいと切に思う。もしタイムマシーンに乗れたらね。楽しいだろうな。
2024/12/03