blue_ocean201922

ライブ感想、Xポストまとめ。その他。音楽について。2019年から森高千里さんのライブにはまりました。

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ライブ感想、Xポストまとめ。その他。音楽について。2019年から森高千里さんのライブにはまりました。

最近の記事

【歌詞考】歌詞における男言葉と女言葉 その理論と実践 「この街」を題材に

森高千里の歌詞は、今ではあまり(ほとんど?)使われなくなってしまったいわゆる女言葉が多く使われる。語尾が「〜わ」とか「〜よ」とかになるやつ。それがモリタカの味だし、彼女の声質で歌われると実によく合い、自作詞ということもあって言葉がジャストで入ってくる。 同世代、というより一世代上のたとえば松田聖子だと、意外にそれほどあからさまな女言葉は使われない(曲にもよるけど)。これは、初期を除く全盛期の作詞家が松本隆だということにも関係があるのかもしれない。そして三浦徳子が作詞を手掛け

    • 【ムーンライダーズ】AMATEUR ACADEMY and more 2024 鉄骨は下げられ、ドラム缶は残った

      現存する日本最古のロックバンド、ムーンライダーズ。諸説あろうが、1970年代初期に成立し、前身のバントを含めると活動歴は50年近く(休止だって活動の一形態だ)、古参であることは間違いなく、そんなバンドがコロナ禍の前から、そしてコロナ禍の只中も、それからも、ちゃんとフィジカルな(これ言っときたい)ライブを定期的にやってくれている例は、知る得る限り他にはなさそうに思う。 11月になったばかりの新月のこの夜、一夜限りの東京ライブを観た。バンドのフルメンバーが揃うライブは少なくて、

      • 【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 名古屋初日 異人さんのファンの話

        世界はあいも変わらず不穏だ。ていうか、不穏の度合いを日々増しているみたいだ。モリタカチサトだけが心の支えだ。正気を保つ理想のドラッグ。 10月28日。名古屋の初日に行ってきた。午前中は横浜で仕事して、いったん帰宅して着替えて、東京駅に出て例によって構内の寿司屋でガソリンを入れて(ここは本当においしい。この日はシシャモの刺身が抜群にうまかった)、のぞみに乗って開演予定時刻20分前にZeppNagoyaにたどり着く。機材車(ツアトレって最近はいうのかな)が無造作に停めてあって、

        • 【青葉市子】人見記念講堂公演 捨ててもいいことを知っている強さ

          1stの「剃刀乙女」から噂に聞いていた青葉市子を、ちゃんと聴くようになったのは、たまたま家の近所でやった公演「ユキノコロニヰ」に出かけたことがきっかけだったと思う。2016年1月、早稲田奉仕園スコットホール。うちから徒歩10分。教会みたいな会場で、真冬。早大戸山キャンパスのそばだけど、意表をつかれた。こんな変なところでほんとうにライブするのかと訝って、チケットは手に入れたものの、当日、入待ち行列の人に「これ、青葉市子の列ですよね」と訊いて不審がられたのを覚えている。CDでもY

          【歌詞考】海辺のカーブ、左に曲がる?

          季節は10月下旬に差し掛かっているけど、まだまだ暑い温暖化日本、2024年。暑さに倦んで海に行く曲などを聴いていると、出てくるのが「あのカーブ」だ。あの、ってどれ? ♪あのカーブを曲がると海が見えてくるから 久しぶりだね二人で来たの 森高千里「夏の海」(1992年「ROCK ALIVE」収録) モリタカ夏のライブのセットリストでは、いまや欠くべからざる定番のこの曲。いきなり冒頭からのカーブ描写だ。うざったらしい出発前のあれこれはどうでもいい。とにかく我に返ったらもう海はす

          【歌詞考】海辺のカーブ、左に曲がる?

          【森高千里】雨のち晴れ、テリヤキ・バーガー、青春、そして円安

          森高千里のライブツアー「今度はモアベターよ!」が7月2日でファイナルを迎えた。会場は昨年6月のツアー開幕と同じく昭和女子大学人見記念講堂(東京・三軒茶屋)で、1年かけて東北から鹿児島まで全国34公演(38だったかも)をぐるっと駆け抜けてきた感じ。2019年から22年までコロナを挟んで敢行した前回の全国ツアー「この街」ツアー(「歌う地域創生」と表現しているポストがあり、そのとおりだと思った)に比べるとちょっと「抜けた」「おちゃらけた」感じがあるツアータイトルだけど、実は込められ

          【森高千里】雨のち晴れ、テリヤキ・バーガー、青春、そして円安

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 札幌2日目 55歳、本当の奇跡とは

          おそらくここ最近のライブでは屈指であろう一体感を感じさせた北海道、ZeppSapporo2日目。横浜もそうだったが、一都市で2回、同じ会場で2日連続公演となる今回のツアーは、2日目の空気が抜群にいい。初日と楽日を街ごとに繰り返しているようなもので、初日は固唾をのむような心地よい緊張感、2日目はリラックスした中に「明日はもうない」という高揚感をはらんでどちらも見逃せないのだけれど、何十年来の知己であるかのような(ようなではなく、多くのファンにとってそれは事実なわけだが)、ホーム

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 札幌2日目 55歳、本当の奇跡とは

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 札幌初日 「この街」はなぜ特別なのか

          札幌での公演は1年9ヶ月ぶりだとMCで言っていた。昨年冬のZeppツアー「ロックはダメなのストレートよ」ぶりということなんだけど、今回の「レッツ・ゴォーゴォー!ツアー」(捨て字の「ォ」がポイント)といい、前回の「今度はモアベターよ」といい、ほんと、変なツアータイトルを平気で付ける最近の森高さんです。ふつうの格好つけた「かっこよさ」なんてまるで気にしていないところがいい。 とはいえ昔はもう少し普通だったようだ。1990年代前半の「ROCK ALIVE」「LUCKY7」とか、同

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 札幌初日 「この街」はなぜ特別なのか

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 横浜2日目 古くならない←選曲と歌う力で曲に吹き込まれるいまの空気と私的世界観

          ◎本稿には最小限のセットバレ記述があります 米大統領選のさなかだが、民主党と共和党どちらの候補者を「支持」するかどうかについてアーティストの発言がときおり注目される。テイラー・スウィフトはカマラ・ハリス支持を打ち出した。カントリー系などのシンガーにはトランプ派も多いだろう。人気商売だけど世の中が、つまりはマーケットが二分されるイシューについて自身の立場を表明することに尻込みしない。アメリカ社会はその意味で、出た杭を叩きがちな日本人よりは健全なのだろう。いろいろ行き過ぎるとこ

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 横浜2日目 古くならない←選曲と歌う力で曲に吹き込まれるいまの空気と私的世界観

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 横浜初日 カワイイのに変な人、は無敵

          2023年6月から2024年7月にかけて全国ツアーを敢行した森高千里55歳、(たった)3ヶ月のインターバルでZeppツアー全国6都市12公演に漕ぎ出すの巻の初日でした。KTZeppYokohamaは平日ながら完売満席。場内はツアー初日らしい祝祭感もさることながら、開演前からちょっと胸アツな歓声、そして拍手で、ここ最近のモリタカライブの好調ぶりの続きを予感させる空気。あれはSEの切れ目で間髪入れず口火を切った1階たぶん上手にいらした古参ファンの方の功績。さざ波が見る間に大波にな

          【森高千里】レッツ・ゴォーゴォーツアー 横浜初日 カワイイのに変な人、は無敵

          【松田聖子】リゾートミュージックの3年間

          大瀧詠一のアルバム「ロングバケーション」が発売されたのは1981年3月21日で、私は藤沢市辻堂西海岸に住む中学1年生だった。13歳。だいたい13歳から19歳くらいまでに聴いた音楽を人は一生聴き続けるという定説通り、はっぴぃえんど、さらにはディープなナイアガラ時代のLPまで一通り買い集め、いまも時おり聴いては新しい発見に震えたりしている。時代を超える名盤の存在感というのはほんとにすごいものだ。それはともかく、当時の13歳にとってLP1枚を買うための2500円というのはホイホイ出

          【松田聖子】リゾートミュージックの3年間

          【スピッツ】フェイクファーの季節

          朝晩だいぶ涼しくなってきて、音楽がしんしんと細胞に染み込んで来るこの季節。さて何を聴こうか。 9月に入ると日暮れがぐっと早くなって、真夏はもう過ぎたんだ、と夏好きとしてはぎゅっと少し心臓を掴まれるような気分になる。スピッツの8枚目のオリジナルアルバム「フェイクファー」は1998年3月25日の発売。真夏には「インディゴ地平線」や「ハヤブサ」を聴きたくなるように、初秋にはこのアルバムを聴きたくなる。なのだけど、意外にもこれ初春のアルバムだったのか。 当時のスピッツはたいへんチ

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          サウンドストリート水曜日育ち

          40年くらい前の昔話を書きます。1980年代初めから後半にかけての5年くらいの間。音楽に関心を持ち始めた全国の10代にとって、FMラジオは何よりの情報源だったと思う。 当時の10代は人口構成比でみてもマスボリュームゾーンで、マーケティング的には掘りがいのある集団だったはずなのだけど、電通も今に比べるとまだまだウブで(その頃をたぶん知る年上の元電通クリエイティブの人と今度飲む予定なので、そのあたりちょっと訊いてみたいと思っている)、「パーソナル」な発信がまだまだ有効だった時代

          サウンドストリート水曜日育ち

          【バブル】お金と歌だけの関係

          思わせぶりなタイトルですみません。その昔ハイポジが好きでした。 バブル時代に大学生だった私は、当時社会にダブついていたお金の恩恵に預かることも特になく、仕送り3万円に対して家賃3万4000円の雑司ヶ谷の風呂なしアパートに暮らす貧乏学生だった。貧乏の常で欲しいものが何でも買えるわけではなく、吟味して買ったものはとにかくとことん使い込む。それは音楽CDも同じだった。聴き込む。今のように出るもの何でも好きに買えるわけではない(そもそも音盤はなかなか出なくなっちゃったけれど、まぁそれ

          【バブル】お金と歌だけの関係

          西へと向かう中央線、よく聞こえない丸ノ内線

          東京都新宿区に長く住んでいて、きょうみたいに静まり返った深夜、なにもすることもなくただ起きていることがある。窓の外はマンションの黒い稜線に切り取られたプラネタリウムの円周のような紫がかった空。昼間は暑かったとはいえもう9月。夏の背中は日に日に遠くなっている。 そんな深夜に夜空を駆ける銀河鉄道のような曲がある。THE BOOMの「中央線」。1990年7月リリースのアルバム「JAPANESKA」収録の佳曲だ。夏の終わりのような涼やかな空気をまとったフォーキーなバンドサウンドに乗せ

          西へと向かう中央線、よく聞こえない丸ノ内線

          【森高千里】「サンライズ」とりかへばや異聞

          森高千里1992年の名盤「ペパーランド」に「サンライズ」という曲がある。全11曲のうちの4曲目。作曲はモリタカが現在帯同する最高のバンド「ホワイトクイーン」のバンマス、高橋諭一。 このアルバムは森高千里が歌唱、作詞、ドラム演奏にとどまらず、ギターや鍵盤、その他諸々多くの楽器を手掛けている、いわば森高千里型「宅録」アルバム。「ポール・マッカートニー」みたいな感じ、というのは言い過ぎか。 アルバムは自らのバンドルーツを振り返る「ペパーランド」で幕を開け、夫婦ならもっと理解しあ

          【森高千里】「サンライズ」とりかへばや異聞