【森高千里】レッツ・ゴォーゴォー!ツアー 追加公演・大阪 救われ続ける。ツアーが続く限り。
2024年10月にスタートした森高千里「レッツ・ゴォーゴォー!ツアー」。横浜、札幌、名古屋、福岡、東京お台場、大阪なんばのZeppをそれぞれ2日ずつ廻り、各地で大盛況(平日なのに!)だったのを受けてのきょうは追加公演大阪編。1月18日のお台場はどーぉしても、ほんとにどぉーーしてもチケットが取れずに苦杯をなめた後の大阪遠征。おかけでいくぶん変なテンションになっていたけれど、席は2階とあって、着席したらちょっと落ち着いた。
2階席はたぶん横浜初日以来だけど、きょうの2階席、開演前はその横浜の2階席とはずいぶん様子が違った。Tシャツ、タオルいない。落ち着いた紳士や上品なカップルが目立つ。普段がわやけてるとか品がないとかいうのではもちろんなくて、単に比率の問題だ。初めての方とかが多いのかなと観察しつつ定刻開演を迎えたのだけど、その観察はほどなく間違っていたと思わされることになる。
今回のツアーはたいへんすばらしい内容で(だから追加公演が東阪名3発も)、どこも1曲めから総立ちだったんだけど、きょうの2階はたいへんクールだった。聞くところによるとめたくそ盛り上がった大阪最終日(本来なら千秋楽だったはずの)も2階は割と静かだったらしいので、これは大阪の人たちの気質なのだろう。考えてみると前回ツアー(今度はモアベターよツアー)でも、何か所かやった大阪は割とクールなノリだったように思う。名古屋がすごいのとなんか対比的。これ、大阪のリスナーが音楽に対してとてもシビアなせいなのかもしれないと考えた。
初見の人がそれほど多くないことはすぐに分かった。座ったままでもフリがちゃんと入っていたもん。何度も来てる方々が多かったと思う。となると、立ち上がることで後ろの人に迷惑がかかるのを避けたいという大人の配慮だったかもしれない。大阪のお客さんは大人なのだ。かくいう私はのっけから界隈単独フルスタンディングで、たぶんステージからは目立ってたと思う。というか、後ろのお姉さんごめんなさい。立ちます、とは断ったけど、邪魔だっただろうと。この場を借りてお詫び申し上げます。
でも特筆はそういうことではなく、さすが大阪と思ったことが2点。一つは手拍子。2拍4泊がビシッと、ほんとに全員ビシッと!コンマゼロゼロ1秒のズレもなく決まり、しかもバックビートというか、裏拍というか、とにかくかっこいいの。あれはすごいよなあ。河内音頭の影響なのか、ほんとあの手拍子のかっこよさは震えるくらいにステキだった。
もう一つは指笛の多さ。あれも大阪ならではだと思う。自分は鳴らせないのでひたすらうらやましいのだけど、あれがあるのとないのとでは客席の盛り上がりが段違いだと思う。囃す効果満点で、森高さんたびたび歌詞が飛ぶくらいノリノリだったのも、指笛効果で1階がめっちゃ盛り上がっていたからに違いないというのは言い過ぎか。前半に音響トラブルなあったみたいで下手がバタバタしていたけど、それも含めて実にライブ感満載のとてもいいライブだったと思う。
追加公演になってセットはちょびっと変更。今回のツアーで初めて聴いて、聴くほどにどんどん気に入ってきていた「若すぎた恋」がセットから外れたのは残念だけど、まあしばらく聴けないだろうし、今ツアーでたびたび聴けただけでもありがたし。この曲、歌詞がちょっと謎めいていてそこにとても惹かれてた。「あなたにはいえないけど/お母さんがかわいそう」。唐突に出てくるこの歌詞、謎だ。何度聴いてもわからなくて。でもシチュエーションをいろいろ想像させる良き詞だと思う。
あとは思いついたことの羅列。珍しく「私がオバサンになっても」で歌詞をトチった。私が見た中では初めてだと思う。さっきも書いたけど、歌詞が飛ぶくらい楽しかったんだと思う。全然悪くない。ライブはそれくらいじゃなくっちゃライブじゃない。我らが森高千里は、フランク・シナトラみたいなエンターテイナーをやっているわけじゃないのだ(フランキーのライブは知らんけど)。ステージで盛り上がりすぎるくらい盛り上がって楽しんでいる森高千里を私たちは目撃したい。そういう、一期一会の瞬間に出会いたくてあちこち出かけていくのだ。
「この街」のセリフ2回目、ぜったいマサヒコオズミパリのザブトンなんちゃらで来て、そんで言い切れなくて盛り上がるパターンかと思ったら違った。最近、8小節の中に無理やり大量の情報量(主にお店の立地情報)を詰め込んで詰め込み過ぎて言えてない、というのを客席も森高さん自身もたのしんでる感があり、きょうもぜったい、と思ってたんだけど違った。インスタ見てザブトンのザブトンたるやが理解できた。これは必見。
インスタといえばギターでバンマスの高橋諭一さんの若さにたまげた。髪ふっさふさ(たいへんうらやましい)。音楽やる人は老けないというのは森高さんが誰より何より体現してるわけだけど、バンドメンバーにもその効果が及ぶとは恐るべし。70歳、80歳になっても続けてくれますよねと念を押してた森高さんも、それを否定しない高橋さんも、なんてステキなんだろう。
あと、どんな展開でそうなったのかは忘れちゃったんだけど、ダブアンのときになんか客席にツッコミを入れて、ツッコミを入れた自分にめちゃくちゃ照れてた森高さん、あれは超絶的にかわいかった。ふだんこの手のことはあんまり書かないんだけど、あれは、胸がキュンとする。そういうことも含めて、きょうはすてきなライブだったと思う。
明日はリセールでようやっと、ほんっとにようやっと手に入れた千秋楽名古屋。ほんとに盛り上がり、お客さんがどんどん増えたこの素晴らしいツアーが終わってしまうのはとてもさびしい(森高さんもつくづくそう言ってた)けれど、どんな物事にも終わりがあるのでしかと見届けたい。
4月からの次のツアー(あなたも私もファイト!!ツアー)ではまた、しばらくやってない曲をやると話していた。いろいろ不安定で先行き不安ばかりの世の中だけど、森高さんがライブを続けてくれる限り私たちは救われる。救われ続けるのである。あなたも私もファイト!!
2025/02/01