三省堂、移転、もうすぐ【2021/12/29】
神保町のシンボル、三省堂が移転する。
その話を記録に残しておこうと結構前に思っていたのだけれど、下書きに入ったままだった。
神保町三省堂は高校の頃から隙間時間があればいつも立ち寄っていた。たくさんの本で溢れているのに威圧感がなく、それでいて棚の間を泳いでいればふとした瞬間に求めていたものがそこにあるような、オアシスのような空間だった。
池袋ジュンク堂や新宿紀伊國屋にもそれぞれの個性があって、どれも好きだけれど、三省堂は特に気取っていないからよい。東京堂書店の方がお洒落だし、古い理学書が欲しければ明倫堂にいくし、江戸時代の和本が欲しければ大屋書房にいくけれど、それでも三省堂は神保町の中心という気持ちがずっとしている。
あの建物が無くなった神保町がどういう風になるのか不安だけれども、惜しまれて無くなるものさえも、やがて忘れてゆくのが世の常なので、不意に自ら思い出せるようにこういう文章だけは残しておきたい。