2018/12/21
実験室の隅に放置されたいろいろな残骸たちが、ひとかたまりの哀愁を漂わせていた。敷かれた新聞は2017年のものだったが、現在とさして代わり映えのしないニュースを伝えていた。
交差点の手前の道路で、トラック一台が大きく左にはみ出していた。その前のバンは右のウィンカーを出していたが、ウィンカーを出すには気が早い距離だった。
ショッピングモールの灯りがいつもより暗かった。時間が遅かったから、いくつかの店が閉まっているせいだった。中華料理屋の店員は良い眼鏡をしていたが、顔つきが幼かった。渡辺さんという名前だった。