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あの日の町のすこし北側【2019/05/23】
この5月は異常に忙しい。学会があり、延びた論文の締め切りがあり、分析をし、就活の面接にも追われ、公務員試験の二次試験もあり、当然日々のセミナーも受けている。死ぬかもしれない。
この間、公務員試験の出題者を調べるため、官報を見に都立図書館へ行った。官報のでた月のうちに気づけば家ですんだはずのタスクを、いまさら手間を増やしてやる自分の愚かさに悲しくなりつつ、広尾に向かった。
実はこの日の朝、駒込の図書館にならあるという情報を得たので行ったら休みだったので既に気持ちは萎えていたところだった。
広尾の図書館はあの有栖川宮記念公園(かの熾仁親王の像もある)のなかにある。とてもいい公園だったので気分をもちなおした。裏手はドイツ大使館である。ひとつドイツ語を覚えた。Fernweh.
この町を訪れたのは二回目。
初めて来たときは、ずっと因縁のあった人と再会をした日だった。あの日、かつて身を焦がすように愛していた人に幻滅してしまう悲しさを知った日でもあった。幻滅というのは、相手の存在が本当は自分にとって大したことの無いものだったことに気づくことを言うのだと思う。いまも彼女はこの辺りで生活をしている。
そんなことを思うあたり、未だに好きなのかもしれない。
それを思い出しながら町を歩いていると、あの日は気づかなかった魅力的な通りがたくさんあったのだった。今風なカフェから誰が買いに来るのかわからない古いおもちゃ(骨董とかでもない)ばかりを置くおもちゃ屋まであった。
西へ行くと寺がある。寺と言う割には、郭は立派だが本堂は今風であった。華道の家元などもあった。
一周してくると、さっきのおもちゃ屋に客がいるではないか。二人も。ウルトラマンのソフビ人形を手にしているおばさんが二人。どういうのなのだろうか。よくみたら隣におじいさんもいた。
カフェに入りたかったが、入らずに帰ってきた。最近は節約しているのもあるが、この日は思い出を増やす日では無い気がしたから。
帰りの電車で、足をくじいた。
今日もまだ左足が痛い。なんと皮肉なことであろうか。