ツユクサナツコの一生
私は益田ミリさんに一方的に親近感を抱いています。
この本の主人公「ツユクサナツコ」の風貌(おかっぱで眼鏡をかけていてひょろっとしているところ)が、自分で言うのもなんですが、私に似ているのです。
内容は、コロナ禍の日常が淡々とつづられています。
時々、その日常の出来事をヒントに、ナツコが4コマ漫画を描きます。
4コマ漫画を描いているところも私によく似ている…。
今ではすっかりコロナなど昔のことのようになってきていますが…。
実際にはウイルスは消えたわけではありませんし、感染者も存在しています。
緊急で異常だったことが、徐々に人々が慣れて、だんだん日常になっていく様がそれを経験した一人として、身近に感じられました。
そして、人の人生というのはあるとき突然死をもってなくなってしまう怖さと悲しさ。
私もコロナ禍に父と叔父を亡くしました。
あまり頻繁に会うことができなかったあの頃に、突然亡くなってしまったことの実感がなかなかわかなくて、気持ちの整理ができなかったことを思い出します。
ほのぼのとした話の中に、言いようのない悲しみが満ちた、時代のマイルストーン…という感じの本です。