「夜に星を放つ」 by 窪美澄
窪美澄さんの本を読むと、心の奥底がジーンと熱くなります。
窪先生の本との出会いは「晴天の迷いクジラ」でした。
→こちらもとても感動的ないい本です。
以降、ぼんやりと好きだなぁ~と思っていたところ、直木賞を受賞したと。
それがこの「夜に星を放つ」です。
短編集で以下の作品が含まれています。
真夜中のアボカド
銀紙色のアンタレス
真珠星スピカ
湿りの海
星の随に
コロナ禍に書かれた作品で、「星の随に」などはまさしく、時代を象徴するような描写が随所に出てきます。
どれも読み終えると「切ない」感情がこみあげてきます。
家族や思いを寄せる人に対する愛情が何らかの事情で報われない…それでも私たちは生きていかなければならない…。
行き場を失った「思い」の帰結はそれぞれの作品で納得できる落としどころに収められていて、読後感は悲しいけれども前を向ける…そんな感じです。
ぼんやりした感想なので、何が言いたいのかわからないかもしれませんが、とても良い本なので、ぜひぜひ読んでもらいたいです。
→人に本を進めるとき、あまり内容を詳しく説明すると、新鮮さがなくなるので、言わないほうがよい…という持論です。
特に好きなのが最後の「星の随に」で、主人公の少年の人間力がすごいなぁ~と思いました。「嫌なことも丸ごと吸収して理解し、好きに変える素直な力」(と私は理解しました)が私にも身につけられるといいのに…と思いました。
だんだんコロナ禍が昔のことのようになってきましたが、忘れてはいけないですよね…日本人が体験した戦争の記憶もそうですが。