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荷物を運ぶだけのかんたんなお仕事

先月調子に乗りすぎた。給料を受け取り、枚数を数える。3回数えてみたがカードの引き落とし額ちょうどしか入っていない。ギリギリセーフと捉えるべきか現金0で1ヶ月生活しなきゃいけないことを憂うべきか分からなかった。今日がカードの引き落とし日なので、とりあえず貰った給料を全額口座に入金したが入金したその瞬間に引き落とされ残高5000円と表示されて怖かった。来月の11日にはまた別のカードの引き落としが5000円分あるので実質0である。今人生で一番お金がない瞬間かもしれない。
出来るだけ憂鬱そうな顔をしながら帰り道にある古本屋に入り、軽い二日酔いと疲れで回らない頭をそのままに、目が滑って意味として入ってこない本のタイトルを眺める。古本を見たい気持ちは1ミリもなかったが、なんとなく今日みたいな日は興味のない古本を眺めるのが良い気がした。300円均一のコーナーに古い漫画雑誌が置いてあり、つげ義春の名前があったので嬉しくなり読んだ。いつも300円しか持ち歩いていない貧乏な男が賭け事で300円を使ってしまい、子供にジュースを買ってやることもできずにひょんなことから手伝うことになった焼きそば屋の屋台の売り上げから300円くすねる話でほんのりと嫌な気分になる。買おうかと思ったが現金を持っておらず、買えなかった。私も300円も持っていなかった。
家(職場に住み着いています)でどうしたものかとダラダラしていると、そこにある花瓶をタクシーで麻布十番まで届けてくれとボスにおつかいを頼まれる。タクシーなんて普段乗らないので貧乏症の私はドキドキしてしまう。表参道のキラキラした街並みをすっぴんパジャマメガネの私を乗せたタクシーは走り抜ける。膝の上にはウン十万するような花瓶、まったくチグハグも良いところだ。無事届けたらこれタクシー代ね、ありがとう、美味しいものでも食べなね、と万札をn枚貰った。とんだラッキーに途方にくれる。闇バイト?これって合法でした?
思いがけない収入を得てどうすればいいか分からなくなり、とりあえず三駅分くらい歩いてしまった。あの格好で表参道を歩くのはつらかった。
家に帰り昨日の昼ごはんの残りを食べた。うっすらダメになっている匂いがしたがもう捨てるのも面倒で食べたら気持ち悪くなった。貰ったお金で外食すればよかった。


追記 この日朝の5時まで飲んで朝の7時半から初めてタイミーのバイトをした。こう見えて意外と寝坊や遅刻をしないタイプだが起きたら7時25分で死…と思った。イベント会場の設営的バイトだったのだが、バイト先でも搬入等が諸々遅れていたのでギリどうにかなった。どうにかなってしまう運の良さが良くないと思う。社会人としては最悪だと思う。結構落ち込んだ。タイミーさんと呼ばれてアツかった。

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