見出し画像

「サンカク関係」から恋愛を考える

去年の夏に夢中になって読んだ『気がつけば地獄』。

ある夫婦と、夫の秘密の恋人との三角関係をそれぞれの視点から描いた小説。

最後の結末に衝撃を受けたのを今でも覚えていて、日記を見返すと2日間にわたって感想をつづっていたくらい、恋愛や恋人との関係を深く考えさせられておもしろかった。

メディアに取り上げられる芸能人の不倫も、だいたいは不倫をした側がバッシングされる。

不倫された側の気持ちを考えると、心は苦しくなるし、そちらの味方をしたい気持ちはわかる一方で、個人間の問題に首を突っ込むような報道に、私も含め、毎回違和感を覚える人はけっこういるんじゃないかな、と思う。

この本では、妻(Twitterネーム:サニー)と夫、夫の恋人(Twitterネーム:ナナ)、3人それぞれの視点で状況や気持ちが描かれる。

それぞれが、相手には言えないつらさや不満を抱え込んでいる

劣等感、

相手に理解されない苦しみ、

相手と一緒にいることに居心地の悪さを感じてしまう心の穴、

その穴を埋めるために他の誰かを利用する後ろめたさ、

好きでも一緒にいられない悲しみ、

それぞれの視点を理解すると、結局は誰も悪くはないのではないかと思えてくる。

もしかしたら、この本に出てくる3人も、実際に恋人との関係に悩んでいる人も、そんな心の中に閉じた気持ちを、上手に相手に伝えることができたら、閉じた心が解放されて、相手との心地よい関係を築けるんじゃないかと思った。

大切な人と気持ちを共有する。
恋人との関係に限らず、どんな人間関係においても同じかもしれない。

そういえば、私は昔(たぶん中学生くらいの頃)から、こういうそれぞれの視点で描かれるストーリーが好きだったなぁと、思い出した。

終盤では、妻(サニー)が夫の不倫相手とは知らずに、Twitter上でつながったナナと直接顔を合わせることになり、お互いがそれぞれの思いを相手に伝えていく。

その時の妻(サニー)がナナに伝えた、
『それって(夫は)誰も愛していないんじゃないかな。』
の言葉がなんだか心に刺さった。

守ろうとしていた家族の輪郭が、不倫をしていたこと自体ではなく、人を傷つけた行いが原因で、粉々に砕け落ちる。

「恋と愛の違い」って、以前はピンとこなかった。
最近は少しずつ見えてきて、この本からも1つ、見つけた。

恋は相手を傷つけることもあるけど、愛は人を傷つけない。

展開にすごくどきどきしながら、考えさせられる、おすすめの1冊です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?