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In Motion 2017 –変容 佐野元春 & 井上鑑 ファウンデーションズ O-EAST 2017.04.04.

公式インフォから抜粋引用。

「植民地の夜は更けて」(2001年)、「増幅」(2003年)、「僕が旅に出る理由」(2010年)に続いて4度目となる今回の「スポークンワーズ・ライブ」。バンド・メンバーは、井上鑑(Keyboard)を中心に、高水健司(Bass)、山木秀夫(Drums)、金子飛鳥(Violin)の4人。これまでも佐野元春のリーディング・パフォーマンスを支えてきた最強のミュージシャン達だ。

佐野元春のリーディング・パフォーマンスは、フォーク、ジャズ、アバンギャルド、ファンクから現代音楽まで、縦横無尽に展開するバンド演奏に佐野元春のフリー・フォームの詩がグルーヴするユニークなパフォーマンスだ。そこで繰り出される自由かつ多面的なイメージは、ラップ・ミュージックの進化形を予感させる。

さらに今回は、初の試みとしてプロジェクターを使った映像演出を導入し、佐野元春の詩を核とした、言葉・音楽・映像による、進化したライブアート・パフォーマンスを行う。

ロックンロールのフォーマットに忠実でありながら、詩的質感を保ち続ける希有な表現者である佐野元春。「In Motion 2017 – 変容」。このコンサートでは普段のロッカーの姿とは違って、攻撃性と優雅さを備えた哲学詩人としての佐野元春を感じることができるはずだ。

スポークンワーズ・ライヴ、僕は初体験。インフォメーションにある内容とミュージシャン名から受けるイメージはあるが、余計なことは考えず、僕が知る音楽の通常フォーマットのライヴという概念を無くし、未体験のパフォーマンスを観に行くというモードで臨んだ。佐野元春だ。何も不安はない。

バンドの演奏が思いのほか激しい(良い意味で)。おかげで元春の言葉が聴き取れない瞬間もあったが、ステージ後方に映る映像でピックアップされるキーワードがカヴァーしてくれる。その映像も難解なものではなく、どちらかというとありふれた景色などが多いが、言葉と演奏と交わることにより、アタマの中のふだん触れない部分を刺激してくれる。このライヴは誰のどこを見て何を聴くというよりも、目の前で展開するひとつの塊を目と耳とアタマとココロで受け止めるとでも言うべきか。

手数が多いながらもシンプルに聴こえて心地よい山木秀夫のドラム。金子飛鳥の多彩な音色が飛び交うヴァイオリン。言葉だけでなく音も主役だった。

中盤、スクリーンには " SHAME 君を汚したのは誰 " 。知っているタイトルであり言葉であるが、披露されたパフォーマンスでのそれは、僕の知るそれではなかった。しかし、僕のこうした先入観的なものが吹き飛ぶことが快感になる。ここからラストまでの展開は、何だかもの凄いスピード感だったように思う。ヘヴィではないが軽いものでもないし、フリーであるがPOPにも聴こえる。メロディや言葉や曲への思い入れなどでの音楽的カタルシスとは違った快感。

言葉だけじゃ伝えきれない。言葉だけじゃ包みきれない。映像と音。バンド。かっこいい。高揚した。<2017-04-06 記>

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