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【MBTI】ST型はどうして「強がる」のか?

ST型特有の「強がり」の話。最近ST型のことがわかってきたような、わからないような。長くなってしまいました(6000字)



1.ST型の強がり

 前回「NF型はどうして暗い雰囲気に惹かれてしまうのか?」という記事を書いたのだが、


 実はこう考えたきっかけはST型の考察である。NF型とは対照的に、彼らは弱音やネガティブな感情を嫌うのだ。スポーツにしても仕事にしても、勝つこと、強いことにこだわる。与えられた任務に忠実で、競争に対して積極的なのもNF型とは対極的だ。

それは彼らが苦境に立たされたり、不利な立場にあったとしても変わることがない。むしろ目標達成が困難であるほど燃えるという人も少なくない。NF型のメンタリティが「詩人」ならば、ST型は「戦士」のそれだ。

ST型の闘争本能はどこからくるのか。今回はこれを考察したい。

2.旺盛な競争心

 ST型が強さや価値にこだわる理由は単純明快だ。彼らはそもそも競争が好きなのだ。言葉で語り合うよりも直接勝負して決着をつけた方がスカッとする。力こそが正義だ。なるほどわかりやすい。

彼らのマインドは割とネイティブに戦闘民族のソレであり、騎士や侍、軍人のような戦士的メンタリティを持っている。だから軍隊とか営業職、プロスポーツ選手のような「戦う仕事」との相性が良い。

力の優劣がそのまま評価となり、結果がそのまま実績となる。一番強い者が正しく賞賛を浴びる。やはり単純でわかりやすい。

いかに効率的に敵を崩すか? どういう作戦で攻めるのか? 弱点はどこなのか? いつ仕掛けるのか? 彼らの思考はそれに集約される。これを考えて実行し、成果を上げて実績を競うのが純粋に楽しいのである。

①強さへの執着

 ST型の習性としては勝負事が好きらしい。たとえばスポーツだ。ST型はスポーツマンがかなり多い。野球やサッカー、バスケといった球技系スポーツの部活動経験者が多く、社会人でもフットサルやテニスに興じる人は多い。

内向型の人も、陸上や水泳などの個人競技、剣道柔道ボクシングなどの武道・格闘技経験者が比較的多く、社会人になっても精悍な顔つきや均整の取れた体系をしている人が比較的多い。

彼らの職場ではプロ野球やサッカーの話や、ボクシングやK-1の話が度々上がりやすい。あとはトレーニング談義が結構好きで、ST型の集団にいると筋トレやらプロテインの話が大抵出てくる。筆者はチーウシのくせに中途半端にタッパがあるので、目を付けられやすい。

 それからギャンブルも好きで、パチンコや競馬の話は結構な頻度で出てくる。ST型がアニメなんぞ見るかよと思いきや、パチンコ経由で知っていることもあるため、侮れない。

FXや株の話も出るのだがあまりセンスはないようだ。資格試験についても話は出てくるがこれもあまり得意ではないようで、筆者はここでも目を付けられやすい。これらはやはりNT型の本領だろう。

付き合っている人種の問題もあるが、職種変更を伴う転職を何社か経ても毎回こんな感じなので、やはりST型は本能的に勝負が好きなのだろう。

②自慢話が多い?

 最近はあまり見られなくなったが、男性は自慢話が多いという話を聞く。やはりテストステロンが強いのだろう。自己肯定感に影響するらしいのであながちマユツバとも言い切れない。これも狩猟本能の名残だろう。

会社の上司が飲み会で過去の武勇伝を語るとか、デートで男性が年収やステータスを誇るとかそういう話だ。男の話は「俺の方が強い」「俺の方がスゴイ」「俺の方が正しい」というところに終始しがちなところはあるが、勝ち負けにこだわるST型はその最たるだろう。

これはネット掲示板でハッとなったレスなのだが「彼氏にやめてほしいこと」のランキングに「店員へのクレーム」が必ず入るのはそういうことだ。つまり店員へクレーム入れるような男は基本的にモテるのだ。

3.負けず嫌い

 ST型は直線的な思考を持ち、ソリッドな性格の持ち主が多いグループになるのだが、一番印象的なのは負けず嫌いな人が多いということだ。自身がINFJであり、相互理解や対話を重視したいこともあってすぐ折れる性質なので、ST型のこの気質はかなりハッキリ見て取れる。

SF型が「平穏」に、NT型が「能力」に、NF型が「人間」らしくあることにこだわろうとするのと同様に、ST型は「勝利」にこだわろうとするようだ。やっぱりナチュラルに競争心が強く、狩猟本能が強いのかもしれない。

外見や雰囲気といった人隣りも、特にESTJやESTPは威圧的だったりギラギラしていたりして、テストステロン強めな雰囲気はある。そうではない一見物静かに見える人も妙に冷静で、荒事に場慣れしていたり、肝が据わっていたりして何かと武闘派な印象を受ける。

ここもNF型の頼りなさとは真逆の印象だ。

①強い言葉を使う

 彼らはしばしば強い言葉を好んで使うことがある。これはMBTI云々というより品性の問題という気もするが、語気を強めたり、ドスを効かせたり、暴力的表現を使ったりして、自身の強さを誇示したり、相手に威嚇する言動が多いように思う。

上記はネガティブな側面だが、ポジティブな面でもそれは同様で、たとえばスポーツや営業成績などにおいて、劣勢の状況・とても勝ち目がない状況でも「絶対に」とか「勝ちに行くぞ!」というような強い言葉を使うことがしばしばある。

劣勢においても「立て直す」「切り替えていく」といった表現を好んで使ったり、他にも「撤退」ではなく「転身」だったり、「クビ」ではなく「卒業」だったりと、とにかく「負け」を認めたがらない傾向が強い。(この辺はTPOもあるだろうが)

②本当に「勝ち」に行く人達

 明らかに劣勢で追い込まれている場面での「絶対勝つぞ!」とか「勝ちに行くぞ!」というST型特有のパフォーマンスは、筆者は昔から腑に落ちなかった。それならば「みんなで精一杯頑張ろう」でいいじゃんかと。

筆者は長らくこれを虚勢・ハッタリの類か、自己暗示や精神論的なものだと思っていた。しかし自身が営業職に就いたことで考え方が変わった。ST型はマジで勝ち筋を探している。だから思考としてはどこまでも冷静で、どこまでも現実を見据えたものなのだ。

最後の最後まで諦めず、どこかに勝ち目がないか、包囲網の一点を切り崩して突破できないか、あわよくば一矢報いることができないかを、最後の最後まで虎視眈々と狙っている。その様相はさながら手負いの虎である。

そうは言っても結局は負けてしまうのだが、「薩摩の捨てがまり」の如く、ただでは起きない強さがST型にはある。荒事への強さ、緊急事態への対応力は徹底した負けず嫌いの賜物といえ、そういう死線を何度も乗り超えてきたST型は特有の強者感がある。

4.プロ意識の強さ

 それからST型はプロ意識が強い人が多い。プロフェッショナルとして、課せられたミッションを粛々と遂行しようとする。それが余程の無理筋でないかぎり、ST型は上からの指示に対して異は唱えることは少ない。

普通の人(特にNF型)が弱音や泣き言をピーピーうわずったり、ともすればあきらめムードになってしまうような状況下でも、ST型は黙々と課せられた命令や指示を遂げようとする。このストイックさはすごい。

筆者はブルーカラーと営業職の経験がある。どちらもST型が多数を占める職種であり、それ故にどうしてST型が弱音や文句を吐かずに仕事を遂行できるのかを実体験交えて考えてみたのだが、浮かんだ理由はこの3点だ。

①無駄が嫌い

 ST型が仕事に対して不満を言わないのは、単純に不満を言っても無駄だからである。なぜなら権限者が名実ともに自分よりも強者であり、その実力を認めた相手には従うからだ。N型(直観型)と違って、思想や政治性といったイデオロギーの影響はあまり受けない。

ST型はそもそもの縦社会意識が強いので、組織や上位者などの命令権限のある者に対して意見するべきではないと考える。またそれは既に決定事項だからというのもある。ゴネたところで覆らず、かえって自身の評価と立場を悪くなるだけならば、無駄なことはしたくないのだ。

不満を言ったところでどうせ状況が変わることはないのだから、そちらに余計なエネルギーを割いても無駄で、ならできる範囲で最善を尽くすという方向に思考は向かうのだろう。ST型の武器は実行力であり、割り切り・迷いのなさは他タイプとは一線を画する。

この点は「話せばわかる」を本気で信じていて、他者を理解し説得することに情熱を注ぐNF型とは対極的といえる。ST型は彼らのように良心やヒューマニズムの葛藤に悩み、いつまでもぐるぐると迷っていることはない。あくまでスパッと決断する。

②共感力の低さ

 他方ST型は他者に対する共感力が低めで、これが実直さや問題解決能力の高さに寄与している部分がある。組織や上位者の命であれば、相手に対して不利益を課す業務であっても不安や罪悪感を感じにくく、心理的抵抗(レジリエンス)が生じにくい。

このため他のタイプ(特にF型)が心理的に嫌がる業務あっても、ST型なら割とこなせることは多い。典型的には軍人、公安職、営業職などだ。相手に不利益を与える仕事、嫌がられる仕事に対する抵抗感が少ない。

この点はST型の強みで、上記職種のようなオフェンス力を求められるポジションで活躍しやすい。ためらい・とまどいを感じにくいため業務遂行性が高く、対人ストレスを感じにくいことで離職や休職も少なく、戦力として長持ちするので兵隊として優秀だ。

NF型の場合、組織や上位者の命令よりも、自身の心の内にある良心、信念、倫理といった人道的価値観を最優先してしまうので、これがノイズとなって判断力が鈍りやすい。また葛藤が生じやすくメンタルを消耗してしまうため上記のような仕事は長続きしない傾向がある。

③孤独耐性の強さ

 またST型の強みとしては孤独耐性が強いことが挙げられる。たとえばトラックドライバーやバス乗務員のように勤務時間のほとんどを1人で過ごす仕事などは、ST型の得意分野と言えるだろう。

また世の中には敢えて「喋ってはいけない」「仲良くなってはいけない」仕事というのも意外と多い。たとえば警察官や警備員のように敢えてコミュニケーションを取らないことを要求される仕事における適性も高い。この辺も寂しがり屋のNF型だとメンタルが持たないところだ。

また意外だが、営業職も孤独耐性が高い人向きの仕事となる。個人目標を達成するのがミッションとなるため、業務の性質上チームワークを発揮する場面が少ないためだ。同僚も同じ条件下で働いており、担当制で縦割りになっているため、協力関係は生まれにくい。

営業職は何かと恨みを買いやすい仕事で、お客様からのクレームはもちろん、協力会社からの不満、上司からの詰め、事務員からの心証悪化は避けられない。しかしST型は持ち前の共感力の低さからためらいが少なく、フットワークの軽さや提案件数の多さに寄与するため、適性は高いと思う。

3.うかつに弱みを見せない

 ST型は自身の弱みを見せることを頑なに避ける。また他人が自身の弱みをさらけ出すこともよしと思わないことが多い。「弱さを見せる」ということは、勝ちにこだわる彼らにとってあってはならないことなのだ。見苦しいのはもちろん、負けを認めることは彼らのプライドに関わる。

しかし他方で、彼らが弱さを見せないのにはそういう精神論とは別の意図もある。勝負をする上でやらない方が得策だからである。スポーツや試合をしていて、あるいは昔の時代なら戦闘の最中に、自身の弱点を晒したり、痛そう素振りを見せることは敗北につながる。

逆にサッカーのファールアピールのように、弱さや痛みを示した方が有利になるような場面では、ST型は戦術上のテクニックとしてこれを用いる。あくまでも勝負の駆け引きで有利な選択をするというのがST型の基本方針だ。

ST型は勝ちにこだわる。だから迂闊に自身の身の上は喋らないし、ダメージを受けていても効いていないふりをして状況を優位に展開しようとする。余計な情報は相手に与えず、虚勢を張って相手の戦意を削ごうとするのだ。

①騎士の誇り 武士の矜持

 彼らは指揮官やリーダーとして振るうことも多いが、その場合も同じだ。指揮官が弱気になってしまうと部下や周囲の士気(モラル)に影響してしまうし、敵やライバルに劣勢を悟られてしまう。そうなれば状況は不利になってしまい、それだけ勝ちは遠のいてしまう。

だからこそ不安な時ほど堂々と振る舞い、負けそうな時ほど不敵に笑って見せる必要がある。騎士の誇り 武士の矜持というものだ。無様な戦いをしてはならない。士道不覚悟や敵前逃亡はあってはならない。敗走して敵に背中を見せてはならないのだ。

この発想はビジネスでも大事で、営業職も技術者も、医者も弁護士も、お客様の前では多少実力が至らなくとも、自信のある態度を示すべきなのだ。NF型のように他者理解を求めて素の自分や弱気を簡単に晒してしまうと、それだけ信頼は遠のいてしまう。だから気丈に振る舞わなければならない。

②NF型の「弱音」

 ST型は組織や上官の指示に忠実だ。他人の不利益になる仕事、表には出せない汚れ仕事も忠実にこなす。軍人にしても営業にしても、目標を達成するためなら心を鬼にして、自身のなすべきミッションを果たそうとする。

なぜなら上官命令だからだ。多少思うところがあるにしても、これに不満を言ったり、意見を言ったところで他に選択肢などない。問題は速やかに解決し、課せられた目標は達成するに限る。

しかしそれはあくまでも組織の都合、上官の意向であって、社会的正義とは限らない。結果として忠実に命令をこなすあまり、理想や正義とはかけ離れてしまうことがある。軍人も営業職も、強い者に与し弱いものを責め立てる存在になりがちだ。

これを痛烈に批判してくるのはやはりNF型だろう。彼らは平和主義・人道的見地という至極真っ当すぎる価値観からST型の正義や競争原理を否定する。NF型の「弱いものを守る」というヒューマニズムは、ST型にとっては青臭い理想論であり、現実主義者の彼らを大いに苛つかせるものだろう。

NF型が弱音を吐くのは、あくまでも平穏と対話を好むために、本音で語り合ってお互いを理解したいと強く望むからだ。争うのはそれがどうしても避けられなくなったときで、彼らは根本的に競争が嫌いなのだ。

まとめ

 今回はST型の「強がり」について考察してみた。前回NF型が暗い雰囲気に惹かれやすいという話をしたが、ST型は正反対で、そういう雰囲気は女々しい臆病者のものとして断固嫌うだろう。

ST型の気質は「明るい」とは少しニュアンスが違うが、「強い」「ポジティブ」は割と当たっていると思う。この気質は社会で求められやすい性質であるため、ST型の社会適応力の高さに一役買っている。

世の中は「守る」仕事よりも「攻める」仕事の方が多く、「サポート」する仕事よりも「アタック」する仕事の方が多い。生きづらさを抱えているNF型の人、あるいはHSP気質のある人は、ST型の気骨や姿勢を少しでも見習って努力する必要があるだろう。

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