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『人生論ノート』 ー健康についてー

健康のためになにかしていることはといわれると、唯一挙げられるのが日課の散歩になりますかね。そのほかにも、青魚を食べたり野菜を多くとったりすると、ストレスが軽減されるように感じるので、自分の場合、意識的にそういうものを取るようにしています。ストレスが多い時代です。うつが社会問題化しています。私もうつについての本を少し読むようになりましたが、個人的にはこの本がおすすめです。


著者は先崎九段。他にもエッセイを執筆しているため、文章が読みやすいです。また、自分の症状を時系列的にしっかりと書かれていて、実際にうつになったり、身近でうつになった人が居る場合とても役に立つと思います。

さて、三木は健康について、このように議論をしています。

誰も他人の身代りに健康になることができぬ、また誰も自分の身代りに健康になることができぬ。
                     人生論ノート 健康について

三木の主張の中で重要なのが、健康は個性的なものだという主張だと思います。健康であるという状態はみんな違うということ、各人に共通したものではないということです。このようにもいっています。

 風采や気質や才能については、各人に個性があることは誰も知っている。しかるに健康について同じように、それが全く個性的なものであることを誰も理解しているであろうか。この場合ひとはただ丈夫だとか弱いとか甚だ一般的な判断で満足しているように思われる。ところが恋愛や結婚や交際において幸福と不幸を決定するひとつの最も重要な要素は、各自の健康における極めて個性的なものである。生理的親和性は心理的親和性に劣らず微妙で、大切である。多くの人間はそれに気附かない、しかし本能が彼らのために選択を行っているのである。
 かように健康は個性的なものであるとすれば、健康についての規則は人間的個性の関する規則と異ならないことになるであろう。――即ち先ず自己の個性を発見すること、その個性に忠実であること、そしてその個性を形成することである。生理学の規則と心理学の規則とは同じである。或いは、生理学的な規則は心理学的でなければならず、逆に心理学の規則は生理学的にならねばならぬ。
                     人生論ノート 健康について

引用が長く恐縮ですが、健康であるというのは個性に忠実であることであると三木はいいます。

何が自分の為になり、 何が自分の害になるか、 の自分自身の観察が、 健康を保つ最上の物理学である
                     人生論ノート 健康について

自分自身に対する分析や考察は肉体的にも精神的にも重要です。日々の生活を注意深く生きないと、このようなことはわからないと思います。そして、日常の中での小さなサインを観察しながら、過ごしていくことが何よりの養生出なのだというところではないでしょうか。

健康の問題は人間的自然の問題である。 というのは、それは単なる身体の 問題ではないということである。 健康には身体の体操と共に精神の体操が 必要である。
                    人生論ノート 健康について

上記と同様です、自己に対する十分な配慮が健康にいきる何よりもの技術なのだといいます。全体を通してですが、個性の尊重という言葉をないがせにするような社会ですと、不健康な人はますます多くなる。当たり前のことかもしれませんが、現代はそんな当たり前のことを忘れている。そんなふうに思えます。

#人生論ノート #健康について #三木清