ハム、ソーセージは…毒の王様(3)
前回上げさせていただいたN-ニトロソ化合物と肩を並べる発がん性物質。その名もポリシクリック芳香族炭化水素(PAHs)。
PAHsは、高温での調理や加工、燃焼などの過程で生成されやすく、特に以下の条件下でその生成が促進されてしまいます。
危険な調理法
直接火焼きや焦げつき: 食品を直接的な火の上に置いて焼いたり、焦げつきを生じさせるような焼き方をすると、PAHsが生成される可能性が高まります。このような高温での調理法では、食品表面の脂肪やタンパク質が燃焼し、PAHsが生成される傾向があります。
燻製: 燻製は食品を煙で燻す調理法であり、PAHsが生成されやすい条件を提供します。煙に含まれるPAHsが食品表面に付着し、食品内部に浸透することでPAHsが生成されます。
油での揚げ物: 高温の油で食品を揚げる際には、PAHsの生成が促進される可能性があります。特に再利用された油や油の酸化した状態での揚げ物では、PAHsの生成が増加する傾向があります。
肉の脂肪分が多い調理: 脂肪分の多い肉や加工肉製品を調理するときには、PAHsの生成が促進される可能性があります。脂肪が高温で加熱されると、PAHsが生成されやすくなります。
これらの条件下で調理を行うと、PAHsが生成される可能性が高まります。健康を考慮する際には、これらの調理法を避けるか、最小限に抑えることが重要です。代わりに、蒸し料理、茹で、煮込みなどのより穏やかな調理方法を選択することが推奨されます。
PAHs(ポリシクリック芳香族炭化水素)が発生する他の条件
ほかにもPAHsの生成が促進される可能性が高まる方法があります。健康を考慮する際には、これらの調理法を避けるか、最小限に抑えることが重要です。
焼き物の鉄板やグリルの使用: 鉄板やグリルなどの表面に食材が直接接触する調理方法は、高温での焼き付けや焼きつきが起こりやすく、それに伴ってPAHsの生成が促進される可能性があります。
炭火や木炭の使用: 炭火や木炭を使って調理する際には、燃焼過程でPAHsを含む煤が発生し、食材に付着することでPAHsの生成が促進される可能性があります。
食材の表面積の増加: 食材の表面積が増えると、高温での調理中に表面がより多くの熱を吸収し、焼き付きや焼きつきが増加します。その結果、PAHsの生成が増加する可能性があります。
長時間の調理: 長時間にわたる調理や煮沸によっても、PAHsの生成が促進される可能性があります。食材が高温に長時間さらされると、より多くの化学反応が起こり、PAHsが生成されやすくなります。
長時間調理と発生しやすい調理温度
PAHs(ポリシクリック芳香族炭化水素)は、高温でなくても長時間調理されると問題が生じる可能性があります。PAHsの生成は、調理中に生じる焼き付きや焼けつき、煙などが関与します。長時間の調理によって食材が高温にさらされると、これらの状況が生じやすくなり、PAHsの生成が増加する可能性があります。
一般的に、PAHsの発生が促進される調理温度は、摂氏200度(華氏392度)以上です。このような高温での調理は、特に焼き物やグリルで行われる場合によく見られます。温度が高いほど、食材表面の脂肪やタンパク質が燃焼しやすくなり、PAHsの生成が増加します。
したがって、PAHsの生成を最小限に抑えるためには、以下の点に留意しましょう。
調理温度を適切に管理し、高温での焼きすぎや焦げ付きを避ける。
長時間の調理を避け、できるだけ短時間での調理を心がける。
煙が立ち込めるような調理法や燻製などの高温調理法を避ける。
食材の表面積を減らし、調理中の焼き付きや焦げつきを抑える。
これらの対策を講じることで、PAHsの生成を減らし、健康上のリスクを軽減することができます。
換気で最小限に抑えられる
PAHs(ポリシクリック芳香族炭化水素)の生成を最小限に抑えるためには、換気をしっかりと行うことが重要です。換気をすることで、調理中に発生する煙や蒸気を排出し、室内の空気を新鮮な空気と入れ替えることができます。
レンジフードの利用: 調理中に発生する煙や蒸気を排出するために、キッチンに設置されたレンジフードを使用します。レンジフードは換気扇と連動しており、換気扇を稼働させることで、室内の空気を外部に排出し、PAHsを含む煙や蒸気を除去します。
窓やドアの開放: 調理中には窓やドアを開けることで、新鮮な空気を取り入れることができます。特にガスストーブやグリルなどを使用する場合には、十分な換気が必要です。
エアフィルターの使用: キッチンや調理場に空気清浄機やエアフィルターを設置することで、室内の空気を浄化し、PAHsを含む微粒子を除去することができます。
定期的な掃除: 調理器具や調理場の定期的な清掃を行うことで、残留物や油汚れを除去し、PAHsの生成を抑えることができます。
これらの対策を講じることで、換気をしっかりと行いながら調理することで、PAHsの生成を最小限に抑えることができます。
キッチンやコンロに付着した油汚れなどからも発生
キッチンやコンロに付着した油汚れからもPAHs(ポリシクリック芳香族炭化水素)が発生する可能性があります。特に、高温での調理や加熱によって油汚れが加熱されると、油中の脂肪や有機物が分解され、PAHsが生成されやすくなります。
焼き付きや焦げつき: 調理器具やコンロの表面に付着した油汚れが高温で加熱されると、焼き付きや焦げつきが生じます。この過程で、油中の脂肪や有機物が分解され、PAHsが生成される可能性があります。
再加熱: 油汚れがキッチンやコンロの表面に付着したまま放置され、再度加熱されると、PAHsの生成が促進される可能性があります。特に、再加熱によって焦げつきや焼き付きが増加すると、PAHsの生成が増加します。
燃焼: 油汚れが高温で燃焼すると、PAHsが生成される可能性があります。例えば、コンロのガスバーナーやグリルなどで油汚れが燃焼する際には、PAHsが発生することがあります。
以上のような状況下で、キッチンやコンロに付着した油汚れからPAHsが発生する可能性があります。
そのため、定期的な掃除や油汚れの除去を行うことで、PAHsの生成を抑えることが重要です。
年末だけでなく、普段からの掃除が大事になりますね。
あなたの健康にお役立てくださいませ。
次回は、PAHsが発生しにくい植物油脂についてまとめます。
お楽しみに。