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【ひらいて】木村愛への想いを綴る

とにかくこの映画も世界観も登場人物も、何もかも本当に好きで、私の好きな「木村愛」を思う存分に語りました。
もし気になって頂けましたら、映画を観てほしいです。原作小説もおすすめですが、この文章は映画の世界観と木村愛を踏まえて書いているので、少し齟齬が生まれているかもしれません…
予告だけでもぜひ、お願いします。


木村愛という人物が好きだ。
きっと同じクラスにいても、私は彼女に近づけないし、交差することのないような人生だと思う。
それでも現実世界のそういう人とは違って、彼女はどこか周りや世界を俯瞰して、見下しているように見える。

教室の休み時間で、彼女は人と話さず、単語帳を開き、鶴を折る。
彼女の夜には、スマホではなくてノートがある。
キラキラしていて
かすかに冷たくて
どこか遠くを見ていて
真っ直ぐ曲がった彼女は
賢くて上手な生き方を知っている。
だから勉強をしている。

私はそういう木村愛が好きだ。

彼女は何のために
髪にアイロンを通し、爪に淡色を乗せ、顔を彩るのだろうと思った。
彼女は、やはり賢く生きている。
彼女は自分の容姿が整っていることも、自分が異性を惹きつけることも、自覚していて
その色と行為が、彼女の地位や個性を一番「ちょうどよく」まやかせるものだとわかっているのだと思う。

たとえに突き放されて、芯を失ったように、解答用紙に名前しか書かなかった愛の髪は、私にはそこまでよくわからないけどアイロンが使われていないように見えた。
それなのにカメラを向けられシャッターを切られた瞬間に、彼女の顔は輝きを帯びる。
その笑顔が何よりも恐ろしかった。

彼女の恋心は、「希望」よりも「芯」という言い方が似合う。
突き放されて振られて、彼女の顔からは芯が消えて生気がなくなった。髪はアイロンどころか解きさえされず、爪は色どころか噛み跡が残った。
芯を失って、作らなくなった顔でさえも、木村愛は美しい。
失った顔だからこそ、美しい。
振られただけで生活を壊す彼女の脆さも、それほどまでに熾烈な恋心を抱ける彼女の強さも、他に何も思わせない儚さと美しさも、好きだ。


小説と映画では結末が違っていて、ネット上では映画の結末に対して批判的なものもありました。でも私は、作品自体の「10代や恋愛の不安定さ」も映画でより色濃く描かれた「木村愛の芯と狂」もどちらも好きです。
前向きに終わるのはどちらかというと小説なので、好みは分かれると思います。
16歳の私だから、映画の結末がすっきりと受容できるのかもしれません。

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