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今週の趣味(映画)

夏目アラタの結婚

土曜日のお昼に視聴
客席は9割ほど埋まってました。

あらすじ

児童相談所の職員、夏目アラタ
ひょんな事からバラバラ連続殺人事件を起こした死刑囚、品川真珠のもとへ面会に行くことになる。

担当児童の父親が事件の被害者で、行方不明となっている遺体頭部の在処を聞き出して欲しいのだとか。
死刑囚と話すのって何か凄い経験!とか物見遊山の気分で居たら、やって来た彼女が予想以上に塩対応。
立ち去ろうとする彼女を見てこのままじゃ終われない。
と、咄嗟に思いついたのは彼女への“プロポーズ”だった。

本作、撮影始まったのが原作完結前(全12巻中9~10巻の辺り)なので
ラストはオリジナル展開になるのは周知されておりました。
しかしながら密度の濃い原作を上手くまとめつつ、オチもキレイについてる。

ふんわり原作との違いはこの辺り
エピソードカット
・真珠以外の登場人物掘り下げ
・宮前弁護士の生い立ち
・被害者と被害者家族の描写
・アラタの母親の出番
・逃避行パートの一部
・謎明かし内容の一部

エピソード追加
・アラタの過去話(エピソードカットによる話の整合性をつけるため)

真珠との駆け引きやサスペンス要素が練られていて大変面白いので、
そこにだけ焦点を当てた作りにすべく色々とスリムにしている。

お陰で原作とはまた違った、短時間でテンポ良く味わえる良作サスペンスに仕上がっていたと思う

気になった所

重箱の隅を突いていけ(屑)

・宮前弁護士のキャラクター
やけに死刑囚に肩入れする気持ち悪いイケメンになってる。
面会の度に手製弁当を差し入れ、真珠の無罪を疑わないのはどうして?
原作だと察するに余りある事情が明かされていくんだけど、
それが無いので謎の熱い人物に。
映画独自で桃ちゃん先輩みたく真珠に篭絡されたとか、
正義に燃える若手弁護士って描写を追加していれば
ストンと腑に落ちたんじゃないかな。

・殺人事件の種明かし
終盤怒涛の伏線回収で気付かなかったんだけど
バラバラ殺人の理由が説明されてない気がする。
俺が見逃していたら申し訳ない
真珠が明かした理由って偽の供述だけだったから、
映画だけだと最終的に真珠ちゃんサイコパスのやばい女にならない?
(やばい女だよ)
ちなみに原作通りの理由だと被害者掘り下げないといけないから尺的に厳しいゾ⭐︎

・映画独自の要素
映画独自のオチを着けるために色々と伏線貼ってるんだけど、
中でも序盤から意味ありげに”X”の模様が映し出されるやつ。
最後で”X”の意味が遂に…って感じなんだけど……

あれ要ります?
無くても綺麗に終われてたと思うし、ちょっと蛇足感

特に良かった所

・品川真珠役の演技力
本作の実写化が成功するかどうかの第一条件は、
品川真珠をしっかり演じられる女優をキャスティング出来るかどうかだったと思う。
作者曰く映画化のオファーは複数回来ていたが、真珠のクッソ汚い歯の再現を拒否したため蹴っていたとの事
サンキュー作者
それが無ければ茶髪に染めた歯並びの良いコスプレ真珠がスクリーンに映っていたかもしれない。

ちなみに黒島結菜女史と限定しなかったのは、回想シーンで子供時代を演じた子も素晴らしい演技だったからです。

・全体的に原作へのリスペクトに溢れている
上でも書いたけど脚本の作りとエピソード選択が上手。
原作のハイライトは大体描写されてるし、詰め込み過ぎで追えない程でもない。
傍聴マニアの藤田さんに佐藤二朗、裁判長に市村正親を充てる等、
原作の印象的な人物を尺が無いながらに目立たせてくれるのも嬉しい。

ED後のスタッフロールで洋曲の「ヴァンパイア」が流れるんだけど、
本編に対する歌詞の解像度がやたら高いと思っていたら、
歌詞の意訳(邦訳じゃないよ)をまさかの作者がやってるんだよね。
こういう取組って映画制作陣と作者の良好な関係が無いと発生しないと思う。

初報を聞いた時は不安も有ったけど、観てみたら全くの杞憂
とても良い実写化でした。

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