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年男と年女は弓の射手、周南市須々万の飛龍八幡宮の節分祭

この記事は、周南市の魅力をPRする周南市市民ライターの活動として発信しています。

山口県周南市須々万すすまにある飛龍ひりゅう八幡宮は、須々万の守護神として地域の信仰を集めてきました。
境内には、山口県内で最も大きい国指定天然記念物の「大玉杉」もあり、古い歴史を感じさせます。
この飛龍八幡宮の節分祭では、弓矢の神事が行われています。

「弓を射る姿を見られるのは珍しい」「弓を射るのは、誰なのかな?」「地域の方々が、祭りに深く関わっておられるのでは?」と興味が湧いたので、2月3日の節分の日に、節分祭を見てきました。


飛龍八幡宮とは?

初詣に伺った時の社殿の様子

社伝によると、後光厳(ごこうごん)天皇(在位1352〜1371年)の時代、この地の岩に京都男山(おとこやま)の石清水(いわしみず)八幡宮から龍に似た光体が飛来したことにより、飛龍八幡宮が創建されたといわれています。
この岩は神具岩(こうぐいわ)と呼ばれ、現在も須々万の地に残っています。

社殿は康暦2(1380)年に建てられたとされ、言い伝えでは、新庄と本庄の2ケ所に杉を植え、よく成長した方を社殿地にすることとし、大きく成長した新庄の現在地に社殿を建て、その杉が大玉杉であるともいわれています。

引用:山口県観光サイト 大玉スギ(飛龍八幡宮)
龍の鬼瓦

飛龍八幡宮では、龍の鬼瓦や飛龍の延命水、さまざまな場所に飾られている置物など、龍にゆかりの品物があちらこちらで見られます。

「龍が飛んできた」とも取れるエピソードに、歴史のロマンを想います。

飛龍八幡宮の節分祭

それでは、飛龍八幡宮の節分祭と当日の流れをご紹介します。

節分とは?

現在では、立春の前日に鬼を祓い福を呼び込む豆まきをする「節分」。
もともと節分とは、季節の変わり目を表す言葉で、立春、立夏、立秋、立冬の前日を表していました。
今では立春の前日のみを節分と呼んでいます。

飛龍八幡宮の節分祭の準備は、約1ヶ月かけて行われます。

1月中旬に撮影した飛龍の延命水

1月中旬の初詣で伺った時には、お目当ての飛龍の延命水は「弓矢の神事」の練習のために取水が止めれていました。
神社にとって、とても大切な行事のようです。

節分祭当日の流れ

節分祭、当日の流れをご紹介します。
午前9時の節分御祈祷が終わると、1回100円(一人2回まで)の開運福引きが始まります。

こちらの福引きはとても人気のようで、多くの人が訪れます。
例年なら、福引きの景品は午後3時でも参加できる量が用意されているそうです。

今年の節分は土曜日。

「参拝される方が多くて、全てなくなってしまいました」とのこと。私の前に社務所に来られた方も、お目当てが売り切れていたので残念そうでした。

午後3時から御祭典があり、弓矢の神事は午後3時30分ごろからスタートします。
最後は餅まきが行われ、節分祭は終了しました。

当日も地域の方々が細やかに動かれていました

「弓矢の神事」が気になる

市民ライターとして飛龍八幡宮の節分祭を取材しよう。
そう決めた私は、まずはWeb上でのリサーチを開始します。

すると、裃姿の方々が弓を構えている写真が出てきました。
どうやらみなさんで弓を射るようです。

飛龍八幡宮における弓矢の神事の歴史

「弓矢の神事」とは何かを、飛龍八幡宮の宮司様に質問してみました。

節分と追儺ついなの儀式

飛龍八幡宮の宮司様は、「日本中どこの神社でも行われている追儺ついなの儀式から始まりました」と教えてくださいました。

追儺ついなは、大晦日に宮中で行われた鬼(疫鬼や疫神)を払う行事である。

出典:東北歴史博物館「2019年度館長講座 第11回 節分」笠原 信男

時代によって追儺の儀式は、弓矢を持って邪を祓う儀式へ、大晦日から節分の日へ、さらに鬼を追い払う豆まきへと変化しました。

今でも神社の節分では、弓矢を使って邪を祓う「追儺の儀式」が行われているのです。

飛龍八幡宮の弓矢の神事

「飛龍八幡宮では500年前から追儺の儀式を、歩射の神事として行ってきました」

1459年(長禄3年)に行われたことが、神社の記録に残っているそうです。

御神木の大玉杉と飛龍の延命水、神事の的

500年前に始まった飛龍八幡宮の歩射の神事は、一度途絶えてしまいます。
この途絶えた神事を、約20年前に弓矢の神事として復活させたのです。

歩射の神事と弓矢の神事は、言葉は違いますが宗教的な意味では同じ神事と言えるでしょう。

地域の年男、年女、歩射の会によって行われる神事

弓矢の神事は、神職、年男、年女、歩射の会のメンバーによって行われます。

今年の年男、年女は8名。
歩射の会からは6名の方が参加。

驚いたのは、小学生の姿もあったことです。
考えてみれば、初めて干支が一周するのは小学生の年ですね。

衣装をきた射手たち

年男、年女の方はかみしも姿。
歩射の会の方は、烏帽子えぼし直垂ひたたれ姿。
神職の方は狩衣かりぎぬ姿。
なんともフォトジェニックな神事です!

本番前の練習風景

早めにお伺いしたので、練習風景を見ることができました。
今年は雨なので、楼門の中から弓を引きます。
本来は的の正面から射るところを、斜め上段から射るスタイルに変更です。

本番前の練習の様子

年男の方に普段の練習の様子を聞いたところ、あまり練習していないとのことでしたが、それでも本番では、見事な腕前を披露されていました。

実際に使われる矢

弓矢の神事本番

さあ、本番です。
弓を引いて、矢を放つと「パス!」と音が響きます。

練習の成果が出ています!

的に当たった矢は、地元の方が回収されます。
次々と、射手が矢を放ち神事が進みました。

歩射の会メンバーによる射

神事の後は豆まきと餅まき

神事が終わると年男、年女の方による豆まきがおこなわれました。

年女の方による豆まき

最後には地域の方々お楽しみの餅まきです。
今年は雨のため、楼門の中で行われました。
地元のみなさんが笑顔で楼門に上られる姿が印象的でした。

餅まきへ

節分の御朱印

節分祭の期間は、書き置きの御朱印を配られています。
私もいただいてきました。

節分の御朱印

中央に丸く龍が配置され、空白に押された梅の花とともに春を感じさせるデザインです。
右下には、飛龍八幡宮の御神木「大玉杉」の文字も。

まとめ

龍にちなんだ置物

帰り際に、年男の方と歩射の会の射手の方が並んで写真を撮られていました。

撮影されているのは、ご家族と思われる方。

3世代が並んで弓を射る姿と、見守る家族や地域の方の姿に、伝統をつなぐコミュニティの強さをみた思いがしました。

飛龍八幡宮では、季節に合わせた御朱印が配られています。

京都の男山から八幡大神が降臨した由緒のある、周南市の飛龍八幡宮。
龍を探しに訪れてみませんか?
国指定の天然記念物、山口県最大の巨樹「大玉杉」が出迎えてくれます!

【飛龍八幡宮の情報】


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