【展覧会レポ】韓国国立中央博物館「스투파의 숲(ストゥーパの森)」
現在韓国の国立中央博物館で行われている「스투파의 숲」展へ、冬休みを利用して行ってきました!ニューヨーク・メトロポリタン美術館で開催された<Tree and Serpent, Early Buddhist Art in India>のソウル巡回展で、インドのニューデリー国立博物館、大英博物館など世界を代表する博物館から南インド初期仏教に関連する作品が展示されています
博物館まで
この日韓国は極寒、、目の前にある大きな湖も半分凍っていました
4号線の二村駅からは地下通路でそのまま博物館へ向かうことができます。写真は通路にあった電子広告。個人的にこのポスターの色合いがお気に入りです。
チケットを買って特別展会場へ向かいます。普段1500円前後の特別展チケットに慣れている私にとって7000ウォン(700円強)はかなりお安めな価格でした。
第0〜1章 神秘の森
まず私たちを出迎える一つの作品、そしてそれに続く第1章「신비의 슾」では神秘的な自然やインド古来の精霊、神などをモチーフにした作品を中心に展示されて
いました。
まず私たちを出迎えるのは南インドの彫刻。
中心にはサータヴァーハナの王が、横にはその王を支える女たちが描かれています。サータヴァーハナ王はヒンドゥー教徒でありながら仏教を許容しており、どちらにも傾かない南インド特有の宗教観を私たちにまず示してくれます。
1-1 豊かな自然、爽やかな生命
会場内は薄暗く、作品の展示には多くの映像技術が使われています。
第一章では「蓮華」のモチーフを使用した作品や、豊穣の精霊ラクシュナーを描いた作品が多く展示されていました
1-2 神秘的なインドの神々
特に面白かったのはこちら
富の神クーベラを約2.5頭身でゴブリンのように描いたもので、蓮の形をした頭の装置から映像と音によってコインが溢れ出ています。
そのほかには古代インドにおいて信仰されたヤクシャ、ヤクシー(自然の精霊)をモチーフにした多くの作品も展示されていました。
1-3 南インドの豊かな仏教信者たち
「マウリア朝の国際貿易」のブースではギリシャやペルシャの影響を受けたブロンズ作品が、
第2章 物語の森
第2章「이야기의 슾」では釈迦の生涯におけるエピソードを取り上げ、ストゥーパの装飾にどのような影響をもたらしたのかをテーマとしています。
2-1 舎利、新しい話の始まり
この章でまず目に入ってくるのはこちらの仏舎利容器たち。
仏舎利容器というものは一般的に仏の舎利(遺灰)を収めるために作られた容器のことです。
見事な装飾がなされた比較的サイズの大きいもの(ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵)と、ガラス製の舎利容器3点(メトロポリタン博物館所蔵)とどちらも大変貴重なものです。
そして少し離れたスペースに置かれているのがこちらの美しい石たち。
これは舎利容器の中で遺骨とともに混ざっていた宝石です。
遺骨同様にアショーカ王が重要視したこの宝石たちは紀元前240年〜200年前のものとされています。
2-2 ストゥーパ 物語を盛り込む
そして次のブースは「스투파 숲속을 거닐다」(ストゥーパの森の中を歩いてみよう)
雰囲気がガラッと変わり、多種多様のストゥーパが描かれた比較的大きな石板が並びます。
基本的には共通して中央の仏舎利容器や蓮華の意匠、大きなストゥーパの後ろの巨大な蛇(蛇の精霊ナーガ)、そして上部には巨大な葉の天蓋(菩提樹の傘)が描かれています。大きさは1メートル以上あるものも多く、迫力がありました。
2-3 ストゥーパの象徴 無言の物語
次のブースはストゥーパの中でも何かを「象徴」するものたち。
仏教の教えを象徴する法輪のブースでは立体彫刻としての法輪や描かれた装飾としての法輪が展示されていました
仏の姿を描くのがタブーとされた時代、釈迦がそこにいることを象徴した仏足石のブース
このブースの終わりには巨大な円形の画面で法輪が重なり合いストゥーパが生まれていく(謎)映像の空間がありました。休めるソファもありヒーリングスポットになっていました。
2-4 ストゥーパの物語 彼の人生のドラマ
かなり感動したのがこの最後のブース
仏の人生を描いた装飾に着目したこのブースではなんと展示台に彫刻に描かれている模様を見やすく線で示したイラストが!
さらに距離が遠く装飾が細かい彫刻は横にあるタッチパネルでその詳しい造形を見ることができます
そして最後に私たちを見送るのは、3世紀〜6世紀と言うかなり早い時期に作られた仏像たち。
終わりに
この拙い文章だけでは伝えきれないほどボリューム満点、満足度も満点の素敵な展覧会でした。
南インド初期仏教にそこまで詳しくない私でも、無理やり連れてきた母でもヘトヘトになるまで楽しめたので、事前に少しでも予習していけばさらに楽しめたのだろうなと後悔しています。(実際図録を読みながらまた行きたくなっています)
もし4月までに韓国へ旅行されるという方、南インドの仏教に興味があるという方、これほどの博物館からこれほど貴重な資料が集まる機会はそうそうないと思いますので、訪れてみてはいかがでしょうか。
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