「ガラスのショーケース」 - 時の長い針 -
……
「ねえ……。」
「ガラスのショーケースに入れて ずっと眺めてみたら?」
彼女は 言う。
(ウランガラスだって 割れなければ 安心よ。)
美しい あのアンティークグラスたち。
でも、特殊なライトを当てないと この幻想的な…
この光が 解らないなんて……。
「 普通の人の家には ブラックライトなんて置いてないわ。 」
( 私は、この自然光の透した 優しい光の方が好きだけど……な。 )
もう一つの顔がある。
@@@
あの、ライトを当てて照らしてみると まるで北欧の夜空に浮かび上がる
グリーンのカーテン。
オーロラのようなこの世の光景ではないような、
とても神秘的な……
グリーン色に光を帯びるんだよ。
確か。
僕だって普通の人だから、家にブラックライトなんて置いてないよ。
割れなければ 安全じゃない?
調べてみよう。
極微量のウランだから人体に影響はないらしいよ。
( ヴァセリンガラスか……。)
フフ ……。
光に透してみると、いろんな顔が見えるのね。
「ガラスのショーケースに入れて ずっと眺めてみたら?」
@@@
彼女の頰が緩み 少しだけ口角が上がった。
…
( まさか、私を ガラスのショーケースに 飾って閉じ込めたいだなんて…… ? )
ふふふ……。
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