![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112457498/rectangle_large_type_2_ec5f022b0430924ebfe1f859d1041821.jpeg?width=1200)
五七五が数えられないわたし ——「幾春かけて老いゆかん」を観て
この記事は2023年9月刊行の同人誌『まるくあるく』にも掲載しているため、noteでは有料で販売しています。
文字数を数える右手ピアノ弾くドレミファソドレドレミファソドレ
以前こんな歌を詠んだ。短歌の初心者のわたしにとっては、日本語の五七調よりもピアノの打鍵の方がずっと身近だ。親指から小指まで順に一から五を数える。そしてまた親指から、一、二と七までを数える。その運指はさながらピアノの教本『ハノン』のようだ。短歌の韻律をなぞるため、唇で小さく歌を呟きながら、指を折る。そんな初心者まる出しの習性を詠んだのが、掲題の歌だ。
しかしある歌人が言うには「五七五のリズムは身体に染みつくものだから、指折り数えている歌人はあまりいない」とのこと。ついでに「岡井隆さんは数えていないと思う」。これを聞いたわたしはビックリ。指を折らないと音の数も分からない素人の自分を恥じ、「やっぱりプロは違うんだなあ」と目から鱗が落ちる心地で感嘆したのだった。
ここから先は
1,122字
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?