【手は言葉以上に愛を語る】携帯小説1
第1話
出会いそして芽生え
ある晴れた朝、
私は鏡を見つめながら
「あぁ可愛くなりたいなぁ、、、」と
誰もが思うであろう
ルックスに対する
コンプレックスを感じながら
歯磨きをしていた。
私の名前は
白崎 愛美(しろさきまなみ)
今日は仕事が休みで
友人と待ち合わせをしている
美味しいお店があるから
行きたい!って
ラインが来たんだけど、
実はそこ、、、
元彼と行ったことがある私。
あまり乗り気じゃなかったんだけど
これじゃない、あれじゃない、と
服を取っ替え引っ替え。
まるで1人ファッションショーのように
着替えをしていた
「ピンポーン、ピンポンピンポンピンポーン」友人のあかりが
何度もインターホンを押す。
「もーうるさいなぁー」
とドアをあけると、
あかりの後ろで
ひとりの男性が立っていた。
「今日は遠いから
車で運転してもらおうと思って
お兄ちゃん連れてきた」
あかりのお兄ちゃんは
美容師らしい。
でも
どこにでもいそうな中の上くらい
実に惜しい男性で、
ちょっと変えればカッコいいのにって
感じの男性だった。
準備ができてさぁ出発
あかりと流行りの歌をうたいながら
目的地まで走っていた
「ねぇねぇ愛美聞いてよ、
お兄ちゃん彼女と別れたんだってさー」
「うるせぇなぁ余計なこと言うなよ」
「あっ愛美はお兄ちゃんみたいな人どう?」
この流れってよくある質問だけど、
どうって言われてもよくわかんなくない?
だって友達のお兄さんなわけで、
今日会ったばかりだし、
あんまり失礼なこと言えないし、
あーもーなんて言っていいかわからないけど、とりあえず失礼がないようにしなきゃ
「えっわたしにはもったいないですよ」
よしこれでいい。。。
「お兄ちゃんはどう?愛美かわいいと思う?」
おいっあかり余計なこと言うなと私は思った。
「俺も愛美ちゃんみたいな子が
彼女だったら幸せだと思う」
えっ!なにこれ、
やっぱり好意を持ってもらえるのは嬉しい
だけど、
お互い気を使ってるんだろうなって思った。
騙されるな私。社交辞令だ。
お目当ての海鮮丼はとても新鮮で
前回食べなかった三色丼は格別
特にうにが嫌いだった私が
大好きになるほどうにが美味しかった
「やっぱきてよかったねぇ」
「俺が運転してきたおかげだからな」
「運転お疲れ様です」
気がつくと日も暮れて、
お腹いっぱいの私たちは車の中で眠っていた
「はい、起きてーついたよー」
目を覚ますと、すっかり辺りも暗くなり
街灯が眩しく感じた。
「今日は本当にありがとうございました。あかりはまだ寝てますね」
「疲れたんだろうなぁそのまま寝かしといてあげてよ、あっ愛美ちゃん今度よかったら髪の毛切りに来て!」
男性の美容師さんに
担当してもらったことがなかったので、
ちょっと恥ずかしいなって
気持ちもあったけど、
あかりのお兄ちゃんだし
今日一日楽しかったし
お礼に今度行ってみようと思った
私は頷き、感謝の言葉を伝え
この日はさよならをした。
「んんんあれ!?お兄ちゃん愛美は?」
「もう送り届けたよ」
車のライトが照らしていたのは、
先の見えない道だった
—————
あれから数日後わたしはいつもと同じように
洗面台へ立っていた
寝ぼけまなこで、寝癖でボサボサ
「あぁ髪切りたいなぁ」
そうだ、あかりのお兄ちゃんの美容室へ
行ってみよう!!
たしか、駅前の美容室
「ブランエノワール」って
言ってたよな
こう見えて美容室に行くのが苦手な私は
予約をしていくという習慣がなく
店の外からお兄さんがいるか
チラチラと覗き見
うろちょろしていた。
「愛美ちゃんそこでなにしてんの?」
ドキッ、
「あっ髪切りたいなぁと思ってきちゃいました」
「いいよ、ちょうどキャンセルになっちゃったとこだし入りなよ」
どことなく前回あったときよりも雰囲気がかっこよく頼もしく見えた
スタッフ「黒井店長どこ行ってたんですか?」
お兄さんって店長だったんだ。。。
???「義輝どこいってたんだよー」
と、出てきたのはいかにもチャラそうな美容師さんだった
「おーわりぃわりぃ和也は指名客終わったんか?早いなぁ」
和也「ん?このかわいこちゃんは誰だい?」
「あーあかりの友人で愛美ちゃんっていうんだ、お前すぐ手を出すから関わるな!笑」
「わかりましたよーだ、愛美ちゃんゆっくりしてってね」
ふたりのやりとりはどことなく
漫才のようで楽しかった
「今日はどんな感じにしようか?」
きたっ!この質問。
どんな感じにしようかと言われましても、
なかなかうまく伝えられないんですよね。
「かわいくしてくださいっ!てか店長さんだったんですね。すごいなぁ」
「いやまだまだだよ、もっと頑張っていつかは自分のお店を持つのが夢なんだ。じゃあ今日はおまかせってことでいいかな?」
私はハイという言葉と共に会話を続けた
「あのぉお兄さんなんて呼んだらいいですか?」
「好きに呼んでいいよみんなには義輝だからよしさんって呼ばれてるけど」
「じゃあよしさんで」
ガチャン
「いらっしゃいませー」
???「よしきいる?」
スタッフ「ただ今店長は接客中でして、、、あっ、あの。」
突然きた、綺麗なお姉さんはスタッフの制止を振り払いこちらに歩いてきた。
「はいっこれ合鍵返すから今までありがとう」
私は何か昼のドラマを
見せられてるのだろうか?
夢なんだろうか?
実際にこんなシチュエーションにあうと
人間って何もできないんだなぁと思った。
「ちょっまてよ!」とよしさん
木村拓哉かと突っ込みたくなったがそれどころではなさそうだった。
「ごめんね愛美ちゃんちょっと待ってて」
といったきりよしさんは戻らず
30分待つことになった
しばらくして和也があらわれた
「あのふたりさ婚約までしてたんだけど、些細なことで喧嘩して別れちゃったらしいのよ。くわしくはわからないんだけどさ、あっ待ってる間にさお茶かコーヒーだせるけどどうする?」
なんだか気になってしまって出された砂糖もミルクも入れずにコーヒーを苦いまま口をつけてしまっていた。
「ごめんお待たせ本当にごめん」
「いや、いいんですでも大丈夫ですか?」
最初は険しい顔をしてたが、
だんだんと自分のことを話してくれた。
なんでも彼女の浮気が原因のようだった
全然些細なことじゃないし、
あのチャラ男め、、、
「ま、ま、ままなみちゃん?」
「あっすいません考え事してました」
「さっできたよ!トップを軽くして動きを出しやすくしといたよ!どうかな?」
とにかくヘアスタイルが素敵だった。毎日見ている洗面台の自分とは別の人がこの中にいる
これ私かな?いや私だ。
「ありがとうございます」
「今日はおまたせしちゃったし、あかりの友達だからちょっと安くしとくね、またきてね」
よしさんは、とびっきりの笑顔で私を
見送ってくれた。あんなことがあった後なのに
さすがだ。と思った。
外に出ると、世界が変わった気がした。
自分のヘアスタイルが変わったこともそうだが、
大人の世界を知った
それはブラックコーヒーの味だった。
愛美ー似合うじゃん!
似合うじゃんと友達みんなが褒めてくれた。
すごく嬉しかったんだけど、
私はよしさんのあの時
一瞬切なそうな顔をしてたのが
忘れられなかった。
今日は5時で終わりだし気晴らしに
飲みにでも行こうかな
ひとりで新宿にある「READY GO」という
BARに飲みに行った
するとこの前美容室に来たよしさんの
元婚約者が男性に囲まれて飲んでいた。
元彼の悪口を大きな声で話していた。
元彼とはもちろんよしさんのことである
最低だ。
私はいてもたってもいられなく席を立とうとして言い返してやろうと思った
すると私の手を掴み首を振る
ひとりのチャラ男がいた。和也だ
「なんでここにいるんですか?」
驚いた私は和也の手を振り払った
「いやぁ、このBAR友達がやっててさ。そしたらみたことあるなぁと思って見てたんだよね、あっちにあんまり深入りしないほうがいいよ」
その通りだった。
和也は意外に真面目で、よしさんの悪口を聞いても我慢していた。本当は悔しいはずだ。仲間が悪口を言われてるんです
でも、耐えていました。
終電近くなってきた頃に元婚約者達は帰った。
私はというと我慢をしたせいかひどく酔い
まわりに、だる絡みをしていた
「なんなんですかぁあの女!自分が悪いのによしさんのことあんな風に言って!おい和也!和也も和也だー何にもいいかえさなくていいのかー仲間だろ〜」
完全におっさん化していた
「まぁね、愛美ちゃん酔いすぎだよ。でもあんな女いう価値もないだろ、わかるやつにはわかるし、わからないやつにいくらいったってわかんないんだ。いうだけ無駄だ。。。」
話を聞きながら
気が遠くなる中で
和也が私の名前を何度も呼んでいた。。。
————-
どうやら酔いつぶれてしまったらしく、
目覚めるとあかりの家にいた
「昨日夜遅くにお兄ちゃんが愛美を迎えにいってくれたんだからねー感謝しなさいよー」
和也がよしさんに電話してくれたみたいだ。
やるな和也。ありがとう
「あっ起きた?しじみの味噌汁作っといたから飲んでまだ寝てなよ、二日酔いだろ?」
よしさんの声が聞こえた
「美容師は土日忙しいんだよ、じゃ仕事行ってくるから愛美ちゃんのこと頼むな」
「はーい」とあかり
なんだろう、行っちゃうのか、、、
と少し寂しく思えた。
「ねぇ、愛美がこんなに飲むなんて珍しいね、なんかあった?」
あかりには言えなかった。それに和也が言うようにあの人の話をする価値もないと思った。
しじみの味噌汁は、優しく包み込んでくれた
「お兄ちゃんお金貯めるために夜も働くみたい和也さんの知り合いのBARで」
えっ?まさかあのBAR?
絶対ダメあの人に再会しちゃう!
「ちょっと愛美どこにいくの!!」
私は気がついたら美容室に向かって走っていた
続く
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