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誰かと誰かの二言三言

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「徹夜や深酒、喫煙は健康の前借りとは言うけれど」

「ん」

「前借りも何も今現在命削ってる感あるよね」

「んー…」

「…そんなになるまで飲む事無いでしょ」

「これ…高かったんだ…美味い…」

「えっ」

「仕事忙しかったから許せ…」

「…煙草は」

「…」

「…はぁ」

「気持ちに整理がつく事は稀だったり、そんな事もあったと話せる日がきっと来るとか言うけど」

「…」

「そんな前を向いてられない時もある」

「…」

「なら下を向いてればいい、溢れる涙を見つめればいい、涙に映る思い出は暖かいだろうから」

「…ありがと」

「…ん」

「思うに、変わらないものってのは人の手から離れたものじゃないかと」

「…」

「思い出、過ぎ去った関係性、亡くなった人でさえ、人との何かが無くなってしまったからそこからは何も変わらない」

「…」

「だから思い出は美しいままなのかもな」

「…いいから皿洗え」

「…はい」

「幸せな夢って、見たことある?」

「…どうかなぁ、あんまり覚えが」

「泣いて起きたり?」

「うーん…夢って記憶を素に形成されるらしいし…」

「幸せなのも悲しいのも変なのも、思い出が素材なんだね」

「うん」

「…幸せ成分だけ使ってくれればいいのにね」

「…うん」

「あっと…」

「君が落としたのはこの安物ライター?それともこっちのジッポ?」

「何でジッポなんか持ってるんだ」

「かっこいいいだろ」

「火が付きゃ何でもいいだろ」

「遊んでこその人生さ」

「はぁ」

「それにこっち使ってみ」

「火付き易いな」

「高いは易いってね」

「もう疲れた帰りたい」

「まだ月曜の昼ですよ」

「せめて仕事のストレス度が下がれば」

「どうにもなりませんね」

「最近1年が短いんだ、それがずっと続くと思うと苦しいよ」

「人生長いですね」

「いや短いって言ってんだよ」

「え?続くんでしょ?」

「うん」

「…?」

「さたでーないとふぃーばー」

「そう考えると完全な休みって1日しかないな」

「日曜は月曜に備えないとな」

「完全週休2日…」

「青い顔で仕事行かなくていいだけマシ」

「そういう問題…うーん」

「日曜も暴れられるよう体力付けんとな」

「動機が不純すぎる」

「人はなぜ高い所が怖いんでしょう」

「死ぬかもしれないから」

「人はなぜ暗い所が怖いんでしょう」

「死ぬかもしれないから」

「人はなぜわからない事が怖いんでしょう」

「死ぬかもしれないから」

「人はなぜ死ぬ事が怖いんでしょう」

「死ぬか…ん?」

「なぜでしょうね」

「年も季節も地球も回って、じゃあ人も回転体なのかな」

「仏教には六道っていう考えがあって…」

「輪廻転生的なのだっけ」

「そう、そういう意味では回転体…いや軸が違う気がする」

「でも人もどこかをぐるぐる回ってる」

「人の道の三半規管はすごいな」

「ぐるぐるわー」

「気温がジェットコースターでやんなるな」

「上がって下がって…一回転は何だろう」

「大荒れ…台風か?」

「涼しくなって、台風一過で上がって、また落ち着いて、言い得て妙」

「ツイスターオニオンみたいなグルグルもあるけど」

「天変地異でしょ」

「重力の開放だ」

「ネットやゲームの読み込み時間って虚無だよね」

「これだって進化はしてるんだよ」

「でも某ゾンビゲーの読み込みはすごいと思った」

「人は暇を潰すために進化したようなもんだねぇ」

「暇つぶしと戦争とエロに本気出しすぎでしょ」

「知性と闘争心と性欲ってすごいねぇ」

「どうしてそんな陰気な顔なんです?」

「週末で雨降りだから…」

「週末ならもっと陽気な顔してくださいよ」

「週末だからなぁ…あぁそうだ」

「なんです?」

「…昼の蕎麦は旨かった」

「…そうですか」