認知症世界の歩き方 【読書感想文】 楽しく学ぼう認知症
★★★★★
Amazonでレビューしたものです
1.認知症の方の抱えるトラブルを理解するために
認知症本人が困っていることを、周囲の人が理解するにはどうしたら良いか。
そのために、認知症本人にインタビューを重ね、旅の形式のストーリーにされて、紹介する、という面白い試みの本です。
筆者は、社会課題解決のためのデザイン領域の研究、実践に取り組まれているそうで、絵や文字や絵の配置も、あたたかく読みやすい本となっています。
PART1は、「認知症のある人が生きている世界」がわかる13のストーリー
最初に、ある島がイラストで示されます。
こちらの島のディメンシア港に降り立った我々は、島内周遊バスに乗って、島のあちこちを巡り、それぞれの場所で認知症の方が体験する困難を体験していきます。
オールカラーで読みやすく、カラフルできれいなイラストで、分かりやすく認知症の症状が紹介されています。
文章の書き方もどこかユーモアがあり、紹介される当事者の話も気楽にやっていこうと明るくまとめられていて、読んでいて気分が軽くなります。
PART2は、認知症とともに生きるための知恵を学ぶ旅のガイド
認知症の方やその周囲の人たちに、具体的なアドバイスがされています。
また、
認知症の人はどうしてこんな行動をするのか?
認知症の人はどうしてこれができないのか?
認知症の人に何が起こっているのか?
認知症の方やその周囲の方だけでなく、施設や病院で関わる方や、一般の職場で認知症の方が来て対応に困る方などにもおすすめです。
何より、全体的に「楽しむ」と言うコンセプトが伝わってくる点がおすすめです。
認知症になってもならなくても。人生を楽しみましょう。
0.もくじ
巻頭付録 認知症世界地図/認知症による心身機能障害44
はじめに
PART1 認知症世界の歩き方
「認知症のある人が生きている世界」がわかる13のストーリー
記憶のトラブル
STORY 1 乗るとだんだん記憶をなくす ミステリーバス
STORY 2 視界も記憶も同時にかき消す深い霧 ホワイトアウト渓谷
STORY 3 誰もがタイムスリップしてしまう住宅街 アルキタイヒルズ
STORY 4 メニュー名も料理のジャンルもない名店 創作ダイニングやばゐ亭
五感のトラブル
STORY 5 イケメンも美女も、見た目が関係ない社会 顔無し族の村
STORY 6 目の前に突如現れる落とし穴、水溜り、深い谷 サッカク砂漠
STORY 7 熱湯、ヌルッ、冷水、ピリリ。入浴するたび変わるお湯 七変化温泉
STORY 8 人面樹、無人の森から聞こえる歌声、動き出す枝 パレイドリアの森
時間・空間のトラブル
STORY 9 時計の針が一定のリズムでは刻まれない トキシラズ宮殿
STORY 10 一本道なのになかなか出口に辿り着かない 服ノ袖トンネル
STORY 11 距離も方角もわからなくなる 二次元銀座商店街
注意・手続きのトラブル
STORY 12 ヒソヒソ話が全部聞こえて疲れてしまう カクテルバーDANBO
STORY 13 記憶、計算、注意、空間……支払いに潜む数々の罠 カイケイの壁
PART2 認知症とともに生きるための知恵を学ぶ 旅のガイド
1 DEPART 新しい旅へ踏み出す
1-1 認知症を当事者の視点で正しく理解する
1-2 今の自分の心身の状態を知る
1-3 認知症の症状は、1人ひとり違うことを知る
1-4 専門職に相談する
1-5 だれかに打ち明ける
2 TEAM UP 旅の仲間をつくる
2-1 頼れる仲間をつくる
2-2 当事者とつながる
3 ARRANGE 旅の支度をととのえる
3-1 「できる」「できない」を知る・伝える
3-2 家の中と外に自分の居場所を作る
3-3 五感にやさしい生活空間をつくる
3-4 混乱を生むモノ・コトを生活空間から取り除く
3-5 サインや目印を工夫する
3-6 スマートフォンを使って生活を楽にする
3-7 旅の資金計画を練る
3-8 毎日の生活リズムを整える・守る
4 ENJOY 旅路を楽しむ
4-1 今の自分ができることを前向きに楽しむ
4-2 生きがいや役割を見つけて、挑戦してみる
5 RESET ひと休みする
5-1 無理しない、がんばらない
5-2 しんどい気持ちを閉じ込めない
5-3 ちょっとだけ「特別なこと」をしてみる
5-4 社会的障壁に直面したときは、だれかに話してみる
5-5 感謝の気持ちを言葉にする
6 PASS ON 思いを伝える
6-1 自分の経験と思いを発信する
6-2 社会を変える活動に参加する
終わりに
認知症世界の歩き方ができるまで
認知症世界の歩き方ポータルサイト
付録 生活シーン別困りごと索引
こちらの内容の動画もあるようでおすすめですね。
よかったらこちらもどうぞ〜