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エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く 【読書感想文】 作品の”種”を手にいれて、芽吹かせ花開き実をつけるまで

★★★★☆
Amazonでレビューしたものです

「売れる小説」はどうやったら書けるのか、書くべきなのか……アイデア、プロット、キャラクターなど、小説を書くための必須テクニックをベストセラー作家・貴志祐介が惜しみなく伝授する、唯一無二の創作論。


1.黒い家の作り方


貴志祐介氏の自身の小説の書き方を紹介した本です。

貴志祐介(以下敬称略)は、私は昔ちょっとハマっていました。
最初のISOLAから、黒い家、天使の囀り、クリムゾンの迷宮、青の炎、悪の教典と結構読みました。


硝子のハンマーも読んだんですが、前みたいな人間の怖さグロさおどろおどろしさがない普通の推理小説みたいで、この人らしい魅力がないなと思ってしまいました。で、仕事が忙しくなったのもあり、遠ざかっていました。

暫くぶりにおすすめに出てきた、貴志祐介。

unlimitedになっていたので読んでみました。


2.ミステリならトリックを


6章に分かれていて、アイデア、プロット、キャラクター、文章作法、推敲、技巧となっています。

第一章はアイデア。

筆者の作品のスタートは、キャラクターだったり、舞台だったり、フレーズだったり色々で、作品によって様々だそうです。
そのきっかけである作品の”種”を最初にどこで手に入れるか、というところが、最初のアイデアという章で描かれています。

次にくるプロット。プロットってよく聞きますが、ストーリーとは違うのかなといつも疑問に思っていました。
筆者曰く、<ストーリーの骨組みを示した設計図のようなもの>だそうです。
彼の場合は、結末、冒頭、クライマックスを抑えるのだそうで。箇条書きでいいとか。
そして、幹に枝葉や花をつけていく。
とはいっても、本格ミステリの場合は、他とは違うそうです。

また、取材して情報を得ることで実感した経験が世界観を支えるというのは、フィクションでも大事だそうです。いやむしろフィクションだからでしょうか。全くの想像の世界でも、現実と地続きにすることで読者も話に入りやすくなってくると。

キャラクターについては性差は本当にありますね。男性の書く女ってなんか違う。人間そんな性欲ばっかりなのかって突っ込みたくなりますよね。すぐベッドシーンになるし。
とはいっても、私も高校生やお年寄りが、何が好きでどんなことを考えて毎日生きていて、話し方はどうかっていうのはわからないし書けないです。
自分と似た人間ばかりでは薄っぺらい話になるけど、自分から離れた人間ほど描くのは大変という、創作の悩みですね。

さらに、編集者とか、他の人からの視線で推敲されることで変わってくる。
自分でも印刷したものを読んだり、寝かせたりすることで、気づく点もあるというのは経験しています。
前に書いて保存しておいた文章を後で読むと、なんでこんなの書いたんだろうってがっかりすることもあれば、自分こんなこと考えていたんだとちょっとした発見になることもあります。
読むのは他人なので、他人の目線は大事。
エンタメは読みやすさが命!


頭の中の話を文章にするって本当難しいですね。

でもとりあえず書いてみないと始まらない、か。。


3.目次


まえがき

第一章 アイデア
アイデアは降ってこない
「もし○○が××だったら」という発想を持て
アイデアの〝消費期限〟
想像力の限界に挑む
防犯探偵・榎本のモデルとの出会い
アイデアの磨き方
物語に没入した原体験
初めての小説執筆体験
デビュー作『ISOLA』を書いたときのこと
『黒い家』の発想はこうして生まれた
職場は最高の情報源

第二章 プロット
冒頭、クライマックス、結末の三点を決める
ストーリーには複数の〝エンジン〟が必要
「どんでん返し」という構成のリスク
すべての判断基準は〝面白いかどうか〟
ベストの舞台を選べ
実在の地名を使うか、架空の地名を作るか
『新世界より』の舞台が一〇〇〇年後の日本だった理由
「主題」にとらわれるな
小説の題材にタブーはあるか?
タイトルのつけ方
本格ミステリを書く際の独特のセオリー
一二〇枚に達した『天使の囀り』のプロット
プロットにこだわりすぎるな
フィクションにも〝論理〟が必要だ
プロットが完成したら検証せよ
現場の空気を感じとれ
情報は精度が命
トリックに著作権はないが……
集めた情報の使い方

第三章 キャラクター
登場人物の命名には気をつけろ
キャラクターの「声」をイメージする
「引き算」の手法で設計された蓮実聖司
キャラクターの弱点は魅力となる
主人公は作中でどう呼ばれるべきか?
「悪役」だから許されること
男性が女性を描くことの難しさ
名作に見るキャラクター設計の妙
〝ワトソン役〟のルール

第四章 文章作法
自分の筆の〝癖〟を知ること
〝一行目〟をどう書き始めるべきか
エンタテインメントは読みやすさが命
漢字の乱用に注意せよ
改行の適切なタイミングは?
基本は三人称一視点
リーダビリティの正体
〝一気読み〟を狙った『悪の教典』
メリハリを利かせる工夫
セリフに頼りすぎるな
ジャンルによって文体は変えるべきか?
カッコいい文章を目指すな
長編小説を書き上げるために必要なこと
そのネタは長編向きか、短編向きか
筆を止めさせないコツ

第五章 推敲
小説の手法は「水墨画」ではなく「油絵」
推敲時のチェックポイント
文章の贅肉を削ぎ落とす快感を知ろう
〝ご都合主義〟に陥らないための注意点
生みの苦しみ、死の苦しみ

第六章 技巧
読者の感情移入を促す仕掛け
効果的な場面転換とは
「作中作」の活用法
「会話」のなかで気をつけたいこと
リアリティを演出するために
テクノロジーや文化をどこまで追いかけるか
象徴的モチーフの効果
トリックに頼りすぎてはいけない
映画やマンガから手法を盗め
自分をのせるスイッチを持て
読み手の心理に訴えかけろ
自分を枠に押し込めるな
新人賞を攻略するために



著者:貴志 祐介 (著)
ASIN ‏ : ‎ B0764XB6GS
出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2017/10/10)
発売日 ‏ : ‎ 2017/10/10
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 1969 KB
本の長さ ‏ : ‎ 182ページ


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