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岸辺露伴は嗤わない 【ネタバレあり読書感想文】 岸辺露伴に敬意を表するッ!!

★★★★★
Amazonでレビューしたものです

杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。類稀なる好奇心を持つ男が出会う、この世ならざる奇怪な出来事とは……!? 露伴がイタリアで手に入れた“何の変哲もない”人形の正体(曰くのない人形)。美しい庭園に潜む恐ろしい秘密(ペア・リペア)。ある過疎地に伝わる、一生に一度だけ見ることのできる神事(不見神事)。露伴の作品を愛する、ひとりのファンの奇譚(ファン・鏑木八平太の場合)。4つの物語を収録した小説集。



アマゾンで本で注文したら、発売日の2日後に到着うううう!

でもしおり?がついていたからよしとしましょう。。



1.好奇心は露伴を殺す?


動かないくせにルーヴルへ行った捻くれ者の漫画家は、
叫ばない、戯れない、倒れない、
で、今度は、
嗤わない、
んだそうです。

オイオイオイオイオイオイオイーッ!

「ヘブンズ・ドアー」という、他人を本にして記憶を読んだり命令を書き込んでいう通りにさせたりするスタンド能力を持つ漫画家・岸辺露伴。
彼は漫画を描くためのネタを探して、あちこちに出没し、気になることを人を尋ねていきます。好奇心の赴くまま、気になること変わったことを探して首を突っ込みまくります。
チート級の超能力を持っているから何が起きても大丈夫だろうと思っているのか、いないのか。どう見てもヤバそうな場所、ヤバそうな案件でもお構いなしです。

そして、ヘブンズ・ドアーの効かない事態で、生きるか死ぬかの大ピンチに陥ります。

もーなんでそんなトコいくのーそんなコト聞くのー見るのー
もー露伴先生はー
毎度毎度懲りないなあー

もはや様式美でございますね。

2.SF作家の描く4つの怪異


今回の著者は柴田勝家氏。

お市の方の二度目の旦那さんではなく、SF作家さんだそうです。

SF作家さんと露伴先生か。。
先生が宇宙に行って考えるのをやめちゃったらどうしよう。。。
と、心配していたのですが、そんなことは全然なくて、しっかり日本(一部イタリア)の怪異を描かれていました。

今回のお話は4つ。

①曰くのない人形

曰くがある、、、の曰くですが、それがないバージョン。
曰くも何もないただの「人形」です。

またまたイタリアに行った露伴先生、<泥棒市>という怪しげな裏通の市にまっしぐら。「ヘブンズ・ドアー」でイタリア語もバッチリです。
連続通り魔の使った凶器だの、一家心中の鍋だの、怪しげな曰くつきの物を売りつけようとする露天商から、その中で唯一曰くのないなんの変哲もない「人形」を能力を使って買い取ります。盗品と知った上で。

しかし、日本に帰ってから売主の男が事故死したことを知り、さらにイタリアから「人形」を盗まれた元の持ち主が露伴の元へやってきます。
曰くのない「人形」になぜそこまで執着するのか、、、

②ペア・リペア

借りっぱなしだった本を図書館に返しに行ったら休館日でタクシーで戻る露伴先生。住宅地の中の公開中のイングリッシュ・ガーデンに惹かれて入っていきます。
演出の効果に感動しつつ花々を見ていると、<庭>の主の高齢女性と同様に庭に来た妊婦と出逢います。
しかし<入園料>はお金ではなく、その人の「大切なモノの片一方」と言われ、、、

ペアは二つ揃ったものあるいは夫婦などの1組、リペアは修繕、ですね。


③不見神事

今回の露伴先生の担当編集は、瑞野信士という男性です。泉くんではありません。

その瑞野くんに、年に1回しか食べられない蕎麦を食べに、車で5時間かけて連れてきてもらいました。店内でミズノシンジという彼の名前を呼ぶ会話が聞こえ、興味を持った二人は、それが不見神事という「決して見てはいけない」「一生に1回しか見られない」神事だと知ります。

そう言われると俄然見たくなる露伴先生。田舎の旅館に泊まって神事に参加しようと画策します。
「目に焼き付けてはいけない」「口で語ってはいけない」「耳に残してはいけない」「手で描いてはいけない」「気にしてはいけない」
そんな神事の正体とは、、、

④ファン・鏑木八平太の場合

露伴先生のサイン会にやってきた熱心なファン・鏑木八平太。
彼はその後杜王町に引っ越してきて、露伴に付きまとうストーカーとなった。言われた通り<適度な距離感>の分別を保ちつつも、徐々に生活に浸食してくるようになり、振り回される露伴。
鏑木の友人という女性がやってきて、警告するが、、、


個人的にはこの中で一番インパクトが強かった話でした。
人形も庭も神事も怖いですが、やっぱり人間が一番怖い。

あの方、を思い出させる怖さ、です。

露伴先生のファンはろくなのいないですねえ。
やっぱり惹かれ合う、、と言っては失礼でしょうか。

3.嗤わない岸辺露伴


嗤うは、笑うとは違います。

相手を見下したように嗤うこと、だそうです。



露伴先生はいつも偉そうです。

今回も

(ふざけるなッ!この僕がだぞ!たかが<人形>ごときに決断を迫られている!)

と人形相手に憤慨しまくっています。

でもやばい状況に陥っても、露伴先生は、宣言します。

「この岸辺露伴はッ!自分の読者を犠牲にしてまで、生き残ろうとは思わない!」

ここまでくると、偉そうとかプライドが高いとかを突き抜けて、美しい信念と、感動します。だか断っちゃう露伴先生大好きです。

自分を追い詰めるモノに、コトに、ヒトに、全力で向き合き乗り越える。
ヤバイ状況になっても、そんな貴重な体験ができたことを喜び、感謝すらする。

だから、岸辺露伴は嗤わないのです。

またドラマやってくれませんかねえ。


著者:荒木飛呂彦 (著), 柴田勝家 (著)
出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2024/12/18)
発売日 ‏ : ‎ 2024/12/18
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 240ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4087035557
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087035551
寸法 ‏ : ‎ 11.2 x 1.4 x 17.6 cm



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