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舞台「宝飾時計」を見て

3月になりました。暖かいようなまだ寒いような。そろそろコートがいらなくなりそうです。
そんな時思い出すこの曲。好きです。

今度逢う時はコートも要らないと
そんなに普通に云えちゃうのが理解らない
…ミルクの色に茶色が負けている
カプチーノ/椎名林檎



椎名林檎といえば。
舞台「宝飾時計」観劇してきました。

今回、東海市芸術劇場に初めて行きました。アクセスも良く、建物が綺麗!後方席でしたが、客席にしっかり傾斜がついていて、とても見やすかったです。愛知公演の時は積極的に使ってほしい劇場でした。


とにかく素晴らしかったです。本当に素晴らしかった。前日に追加販売されたチケットを買えて、劇場で見れて本当によかった。

HPに載っているあらすじは、確かにそうなんだけど、肝心なところネタバレするのでぼんやりしたことしか書かれていません。なので、「いや、そうなんだけど、重要なのはそこじゃない感」があるので、とにかく本編を見てほしい。

今日まで配信のアーカイブが見れます!是非に!
以下、ネタバレしますので、まだ見ていない方は取り急ぎ配信を買ってください(ごり押し)。




私が根本宗子さんの作品を見るのは、舞台「世界ロマンスオーケストラ」、映画「もっと超越した所へ。」に続き3作品目です。

ファンタジーなのにとても現実的。
あたかも当たり前のように、日常に魔法が存在する、吉本ばななの小説みたいだな、なんて思います。
きっちり説明したいけど、一言で言い表せない、複雑で入り組んだストーリーです。なのでとりあえず感想を殴り書きします(いつものパターン)。


相手のことを知りたい。もっと教えてほしい。自分のことも知ってほしい。でも、もしそう思っているのが自分だけだったら。答え合わせをして、もし間違っていたら。知りたいけど、知ってしまうのが怖い。相手を大切に思うあまり、踏み出せずに思いを飲み込んでは、ドロドロとした感情が積もり積もって沈んでいく。

3人の女性達がそれぞれ置かれている状況や、立ち向かわなければならない問題は、社会とか、生き方とか、他者とどう向き合うかとか、誰しもが一度は経験したことがあるであろう内容ばかりで、今まさにその状況の人も、過去にそんな経験があった人も、自分と重ね合わせることができたと思う。

「何気ない幸せを”ごめん”で壊さないで」

何を言ってもごめんとしか言わない恋人に、主人公が言った台詞。多分一言一句合ってはいないけど、この台詞がとても印象に残っている。
根本さんの作品には、何気ない会話のはずなのに、強烈に頭に残る台詞があるのがすごいと毎度思う。

高畑充希ちゃんの舞台は、ミュージカル「WAITRESS」以来。これもまた最高だったんだけどそれはちょっと置いといて。(長くなるので)
真相がわかる前とわかった後では、同じシーンでも全然違う。台詞は同じでも、主人公の揺れ動く心情が前面に出されていて、一緒になってちょっと震えた(いろんな意味で)。圧倒的演技力。やっぱすげ〜〜。高畑充希、恐るべし。

会話の掛け合いのテンポが良く、コメディ要素もしっかりある。とにかく空気が読めないというか、人の話聞いてた?みたいなやつに、割と本気でイライラした。危うく、うるせぇな!!と叫ぶところだった。後藤剛範さん、素晴らしい名演技。(後藤さんのことは林くんと呼んでいます)(ドラマ「来世ではちゃんとします」の役名)(大好き)

主人公が問題の核心に近付くほど、苦しくて、逃げ出したくなった。自分にはそんな経験はないのに、涙が止まらなかった。とにかく苦しくて、手を握り締めて、ただ泣いていた。もはや自分がなぜ泣いているのかわからなかった。

私は主人公と同じ年齢。苦しくなるような、良い意味での諦めのような、複雑だけどシンプルな感情が、抵抗なく体に入ってくる感じがして、ふっと心が軽くなる、救いのような作品だと思った。

この作品のテーマ曲が、椎名林檎が書き下ろした「青春の続き」。林檎節が炸裂している曲だけど、高畑充希ちゃんは、持ち前の歌唱力と表現力で、完璧に自分のものにしていた。以前テレビの歌番組で見た時より、ずっとずっと迫力があって、圧倒された。彼女の歌には、人の心を動かす力がある。わかっちゃいたけど、改めてそう感じた。舞台だと特に。

胸がいっぱいで、見終わってもしばらく涙が止まらない。
そんな作品に出会えて本当にラッキーだと思う。

根本宗子×高畑充希の最強タッグ。
是非またやってほしい。
あ〜〜〜本当によかった。

最後に、帰り道に聞いて沁みたこの曲でお別れです。「青春の続き」は、この曲の続編なんじゃないかとすら思う。

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