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絶望8割、希望2割|連続ドラマW「フェンス」感想
最近スキズの特番を見るためにWOWOWに加入。
せっかくだし見れるもん全部見とこ!ってことで、気になっていた「連続ドラマW フェンス」の感想です。
見た後に知ったのですが、この作品は、ギャラクシー賞 2023年4月度月間賞を受賞。
また、モンテカルロ・テレビ祭 ゴールデンニンフ賞(最高賞)にノミネートされ、先日現地で行われた授賞式で上映されました。めでたい!
受賞は逃しましたが、海外でも評価されていて嬉しい限りです。国内でももうちょっと話題になってもいいと思うけど。慰霊の日に合わせて地上波で放送すればよかったのに。(個人の感想です)
以下感想です。
後味が悪いというわけではなかった。ただ、想像を超えた深い闇を目の前にして、私は立ち尽くしてしまった。
絶望8割、希望2割といったところだ。
本土と沖縄。沖縄とアメリカ。日本とアメリカ。男と女。親と子。
それぞれの視点から、それぞれが抱える問題や葛藤を描いている。
一筋縄ではいかない、複雑に絡み合ったそれらの問題と向き合い、ひとつひとつ紐解いていく。それは果てしなく長い道のりの入り口だった。
戦没者の慰霊碑の前で、心に傷を負った3人の女達が手を取り合っていたシーンを見た私の心情は、一言では言い表せない。
それは果てしない絶望であり、その中から見つけ出した小さな希望であった。
美しくもあったし、目を背けたくもなった。
力強くもあったし、どうしようもなく非力でもあった。
沖縄の美しい空と海が青ければ青いほど、恐ろしく悲しくなった。
ドラマ内で起こった一連の事件は一通り解決したとしても、手放しでは喜べなかった。むしろ、さらに深い闇の中に放り込まれた気分だった。
犯人は捕まっても、根本的な問題は解決していない。しかも、いつになったら解決できるのかわからない。もしかしたら、そんな日は一生来ないかもしれない。
きっと戦いは終わらない。人類は過ちを繰り返し、血と涙は流れ続ける。
それでも私達は、このどうしようもなく腐った世界で、生きてゆかねばならない。小さな希望をひとつひとつ拾い集めて、寄り添って分かち合って、前に進んでゆかねばならない。たとえ行き先が真っ暗でも、歩みを止めてはならないのだ。
重いテーマではあったけれど、見てよかった、知れてよかったと思えた作品だった。
私が日本人で、女で、人である以上、決して他人事ではない。自分も当事者であるという自覚を持って、様々な問題から目を背けず向き合って、強く生きていこうと思う。