再掲:三題噺 「髪飾り トンボ 王子」
御伽噺を読みました。
その物語には「王子様」と「お姫様」が出てきました。
私にはドレスもガラスの靴もありません。「お姫様」そんな言葉も似合いません。
魔法使いも魔女も現れることはないでしょう。
共通しているところがあるとすれば鼠がいることぐらいではないでしょうか。
一面に広がる田んぼと畑に囲まれて、ああ南瓜も林檎もたくさんあります。
馬車にもならないし、毒林檎にもならない。
夜は真っ暗で、パーティーとは程遠く、外に出ることすらありません。
そんな夜をまもなく迎えようとしています。
夕暮れの橙色を背負って立った彼は私のお下げに手を伸ばしました。
トンボが止まったと。
「髪飾りみたいだね」
そう言って笑った彼も、トンボを髪飾りにした私も御伽噺には程遠いけれど。
王子様がいるならば、それは彼だと思ったのです。
よくわからないんですけど美味しいもの食べます!!