再掲三題噺「カラス 砂糖 足」
一羽のカラスが地面に降り立った。
複数の白いものを見つけたからだ。それは一帯に広がるように散らばっている。
その真ん中に佇むように地面に足をつけ、白く転がる欠片の一つを、嘴で啄ばむ。
白く、四角い、甘いものを、カラスは拾った。甘いそれを砂糖という。
黒い翼を見せ付けるように大きく羽ばたかせて、高く高く声を上げる。
仲間を呼びたかった。
会いたい仲間を呼ぼうと思った。
呼びたいのは、会いたいのは、先ごろまで共に過ごしていた群れの仲間ではない。
共に子育てを行うための、仲間だ。
突然、いなくなって、突然会えなくなった、仲間。
発見した砂糖を、鳴き声を聞いて他のカラスが啄ばみに来た。
足元の、白くて四角い一つを咥える。
見覚えのある他の仲間たちをきょろきょろと見渡して、その中に探し人──鳥を探す。
きょろきょろと何度もその場で跳ねて体を回して、首を振り、傾げる。
そうしてる間に砂糖は瞬く間に仲間たちが持って行ってしまう。
一羽去り、二羽去り、三羽が去った。
最初の一羽だけが、その場に留まり続ける。
いつまでも、いつまでも。
よくわからないんですけど美味しいもの食べます!!