ご飯は座って食べてね
母の言葉を今になって思い出す。
職場で相変わらず殴られっぱなしの入社数日目。
自分のためだと言い聞かせているが、でもやっぱり辛い。心の中の弱音は尽きない。それを一生懸命飲み込んで、やっと家に辿り着いた。
いつも料理をテーブルまで運ぶのがめんどくさくて、キッチンで食事を済ませることが多い。今日もキッチンで食べようとした。すると、すかさず母の言葉が脳内再生された。
「テーブルで座って食べたら、?」
母はよく僕にそう言っていた。ただめんどくさかったときも、仕事帰りで疲れていた時も、いつでも母はそう声をかけてきた。
いつも僕は「口うるさいお母さんだ」と、めんどくさそうにあしらうだけだった。
でも、なんだか今日は、どうしようもなく涙が溢れてきた。
職場でダメ出しされることはしんどかったけど、「直せばいい」「自分のため」「上司の優しさ」と頑張って肯定して、落ち込まないように背筋を伸ばしていた僕。
だからこそ母の「テーブルで座って食べたら、?」という何気ない言葉が、「家に帰った時くらい、しっかりと休んで良いんだよ」と、僕の肩を撫でてくれた気がして、思わず母の胸で泣きじゃくる子どもみたいに1人で泣き崩れてしまったんだ。
母の愛情が、具体的な言葉や行動の記憶としてしっかりと僕の中に降り積もっている。
愛情は積み重なるものなんだと思うのと同時に、大丈夫だってどこか安心した、そんな月曜日。