第75話「トーク力を上げる方法(2/2)」
(前回からの続き)
エド先生「会話がどんどん盛り上がっていく魔法の方法、それは……『イエス・アンド法』を用います」
「イエス・アンド法」とは簡単に説明しますと、相手の話した内容について、まずイエス(肯定、共感、賛同)をします。否定はダメ。一度肯定したら、次にアンドで、その話題にプラスした話(質問だったり、その話題に関する自分の話・意見など)をします。それを受けた相手は、同じようにイエス、アンドで返していきます。
これを続けて行けば、会話が途切れることなくどんどん話が盛り上がっていく、らしいです。
……あまりピンと来ませんでした。普通の会話っぽい気がします。
エド先生「では皆さん、隣同士向かい合ってください」
嫌な予感。
エド先生「お隣さんと、イエス・アンド法を実践してみましょう!」
待て待て待て。分かっているのか。全員おっさんだぞ。おっさん同士で喋るのか? この場合、実は隣の部屋で同じ講義(女性バージョン)をやっていて、その人たちと合流して会話の実践をしてみましょう、というのが正解。せめて受付の女性とか呼んで話させて欲しい……。
心の反論も届かず、隣のおっさんと話すことになりました。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
隣のおっさんは、同い年くらいのアラフォー男性。これといった特徴のない人でした。ブサイクでもないけどイケメンでもない。少し痩せ気味。あとは普通。普通すぎて仮の名前すら出てこないので、「隣のおっさん」で行きます。
隣のおっさん「最近休日に、美味しいパスタ屋さんを探して食べ歩いているんですよ」
タクヤ「それは良いですねー(肯定)。美味しいパスタ屋さんなら、高円寺に良いところ知っていますよ。ナポリタンが桁違いに美味しいんです」
隣のおっさん「それは良いですねー(肯定)。行ってみたいです」
タクヤ「……」
隣のおっさん「……」
タクヤ「(あれ? オレの番か?)はい。是非行ってみてくださいー」
隣のおっさん「……」
タクヤ「……」
隣のおっさん「そうですねー」
タクヤ「……」
隣のおっさん「……」
タクヤ「……」
隣のおっさん「……」
エド先生「皆さん、いかがでしたでしょうか」
全然盛り上がらねー!
そもそも私、「イエス・アンド法」を聞き間違っていました。セミナー中に取ったメモがこちら。
イエス・アンド・フォー
こっちの方がちょっと盛り上がりそうですけども。
タクヤ「それは良いですね(肯定)。フォー!」
おっさん「ですよね。フォー!」
タクヤ「フォー!」
おっさん「フォー!」
この体験で、密かに私は真の"トークが盛り上がる方法"に辿り着いていました。セミナーの受講者は、せいぜい「イエス・アンド法」をやり続けると良いです。私はこちらの方法でやります。
トゥ・テイク・アン・インタレスト・イン法
格好つけて英語にしたら長くなってしまいました。要するに方法は、相手に興味を持つこと。
先ほどの会話が何故途切れてしまったのか。それは、お互いに興味が無かった、これに尽きます。相手に興味があれば、質問がとめどなく出てくるはずです。お互い、聞いて答えての繰り返しになり、結果、話が盛り上がる。重要なのは、"相手に興味を持つこと"。
編み出してしまいました。トゥ・テイク・アン・インタレスト・イン法!
自信があります。私これ、明日になったら忘れています。