私が自殺をしない理由
私は今まで何度も死にたいと思ってきた。
実際に行動に移した事もある。
今日も私は行動に移そうとした。
靴も履かずにトボトボと歩くそんな私の足を止めてくれた存在がいる。
「〇〇さん、ちょっと待って!死ぬ前に何があったか聞かせて?おうちの中でお話しよう?」
訪看さんだった。
1度は手を振り払ったものの、訪看さんの促しで私は家へと戻った。
だけど気持ちは落ち着かない。物に当たって、声を上げてヒックヒック泣いていた。そんな私の背中をさすりながら「何があったの…?」とだけ言って、私が話し始めるのを静かに待っててくれていた。
私はゆっくりと口を開いた。
就労移行支援事業者での出来事、担当の方に依存してしまっている事、そして死のうと思った理由。
全部話した後の私は絶えず大粒の涙を流していた。
就労移行支援事業所では話せなかったモヤモヤや自分の本音を打ち明けられたから、ホッと安心した部分もあったのかもしれない。
隣に座って、そんな私の話をうんうんと聞いた後に、訪看さんは「わたし、霊感あるんだ。それに、あくまでも私の考えなんだけど…」と言って話し始めた。
"私は絶対に自殺しないって決めてるの。スピリチュアルな話しになっちゃうけど、自殺以外の死に方をした人はちゃんと亡くなった家族にも会えるし、ちゃんと成仏できる。でも自殺を選んだ人は無の世界で誰に会う事もできずにずっと彷徨う事になるんだって。だから私はどんな辛い事があっても死なない。生きる意味は分かんないけど、何となく流れに沿って生きてれば絶対いい事あるから!"
私をぎゅーってしながら、そう話してくれた。
たくさん泣いた。なんか私の中で腑に落ちた。
スピリチュアルな話なのに、すごく信憑性を感じたというか、納得した。
その瞬間私は決めた。
"私も絶対に自殺しない"
訪看さんの話してくれた内容そのものが、私が自殺をしない理由だ。
訪看さんの言葉が、私を生きようと思わせてくれたのだ。
生きてれば苦しい事ばかりで、生きる事を諦めたくなる時もあるけど、死んで、今よりもっと孤独になるのは嫌だ。
久しぶりに生きようと思った。
だって私が死んだら亡くなった母に会いたいもん
訪看さんの話が本当なら、私は家族に会えない事になってしまう。そんなの嫌だ。
"土日で死なないでよ?"
心配そうに私の顔をのぞきこみながら、「また来るね」とだけ言って帰っていった。
心の中で、"大丈夫、私はいつか死ぬ時が来るまで絶対に自殺はしないよ、だから安心してね"と呟きながら。
その時、降っていた雨が止んで、空には虹がかかっていた。まるで空が「良かったね」と言っているようだった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?