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ノルウェー人理学療法士が国際高齢者デーに語る【フレイル高齢者と尊厳のある老い】とは

10月1日は国際高齢者デーでした。国連では「尊厳のある老いを」というスローガンのもと今年も高齢化社会への課題に対するアプローチの大切さを訴えています。

ノルウェーでは国際高齢者デーをどのように扱ったのでしょうか。エイジング&ヘルスノルウェー国立センター(The Norwegian National Centre for Ageing and Health )が投稿した記事の一部を紹介させていただきます(^_^)/



1.「尊厳ある老い ― フレイル高齢者に対しても」

老いることやフレイルは、克服するものや排除すべきものではありません。それはむしろ、自然なものとして受け入れられるべきです」と、国際高齢者デーを前に、老年学・健康の専門家である理学療法士キルダレン氏は語ります。

今年の国際高齢者デーのテーマは「尊厳ある老い」であり、世界中の高齢者のケアや支援体制を強化することの重要性に焦点を当てています。

フレイルを、個人的な失敗、つまり『正しい生き方をしていない』という意味で捉えてはならない」と彼女は言います。

誰もができるだけ長く、できるだけ良い状態で過ごしたいと願っています」と、フレイルについて研究しているキルダレン氏は続けます。

2.“Handle with care”

フレイルとは生理的な予備能力の低下を指し、高齢者への医療支援を考える際にこれを考慮することが重要だと言います。

フレイルとは? 病気、ストレス、負荷に対する体の抵抗力が弱くなる状態を指します。フレイルは病気とは異なりますが、成人のすべての年齢層で見られる可能性があり、高齢者に多く見られる特徴です。フレイル度が高い人は、歩行が遅くなったり、握力が弱くなったり、疲れを感じたり、急激な体重減少や日常生活の活動が困難になることが多いです。脆弱さを抱える人にとって、尊厳を持ち、個別に対応したケアが求められます。

「フレイルを認識することは非常に重要です。なぜなら、フレイル度が高い患者は副作用や治療の合併症のリスクが高いため、個別に対応した治療が必要だからです。『“Handle with care”』というのが私の合言葉です」と、キルダレン氏は続けます。

個別対応の治療を提供することによって、フレイルな人々はより長く良好な機能と活動的な生活、そして生活の質をもたらすことができます。

理学療法士 キルダレン氏の言葉

3.フレイルとは「生きてきた証」

Vestfold病院の老年医学専門医ヴァング=ハンセン医師は、健常な高齢者患者から「フレイル」という言葉を使ったことで注意を受けたことがあると、forskning.no(ノルウェーのデジタル研究誌)に語ります。

ヴァング=ハンセン医師は、高齢者が年齢によって一律に「分類」されることに対して、元気な高齢者がそのことに対して難しさを感じているのだろうと考えています。

「自身が衰えを感じ始めた人たちは、それほどそのことを難しく感じないようです。それが私の経験です」と彼女は語ります。

キルダレン氏は、人が年をとってもフレイル度だけで定義されるべきではないと主張します。

私たちは幸い、私たち自身の生理的な予備能力以上の存在です」と彼女は述べ、フレイルには美しさもあると付け加えました。

「そう考えると、フレイルはまた『生きてきた証』でもあります」。

4.日常の活動とトレーニングでフレイル度を遅らせる

ヴァング=ハンセン医師は、フレイルをできる限り遅らせるために最も重要なことは、日常生活の活動を増やすことだと明言しています。

「それはおそらく最も重要なことで、多くの人が実践できることです。日常生活の中で行う大小の活動、たとえば郵便物を取りに行くことや庭仕事をすることなど、そういったことが含まれます」。

ヴァング=ハンセン医師

また、トレーニングも重要です。「早いうちからトレーニングをすることです。それが難しいことでもあり、また簡単なことでもあるのです」とヴァング=ハンセン医師は言います。

理学療法士のキルダレン氏は、地域の健康増進センターやグループトレーニング、ウォーキンググループなど、自治体やボランティア団体が提供する多くの良いトレーニングプログラムがあることをすぐに補足しました。

「これらのプログラムは、他の人々と一緒にトレーニングを始める手助けをしてくれるもので、社交面も非常に重要です」と彼女は言います。

~省略している部分もあります~

5.記事を読んでみて考えたこと

年をとること自体に絶望的になる人は、あまり見たことないですが、今までできていたことがだんだんできなくなることに対して不安な気持ちや自己肯定感を低くしてしまう方は、今まで仕事柄何人も見てきました。

というか、私自身も10代の時の例えば体力だとか肌のつやだったりとか。何も努力する必要がなかった部分が、今はその質を維持するために努力をしなくてはいけないフェーズに入ってきたことを感じ、こころがそわそわする瞬間があります。

世間ではそれを努力が足りないだとか、年なんだから仕方ないだとかいう傾向がほとんどかと思います。(私自身も含めて)。

だから、この記事を読んで「フレイルは生きた証」という言葉を目にした時ハッとしたものがありました。視野を広げて視点を変えて、さまざまな方向から老いへの理解を深めていくきっかけになったので、皆さんにもこの記事をシェアしたいと思い、投稿させていただきました。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!!

それではまた!


参考記事



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