④LOW BACK PAIN X COGNITIVE FUNCTIONAL THERAPY
こんにちは!
ノルウェーの理学療法協会が、腰痛専門の研究者・教授・臨床者であるKieran O'Sullivan氏を招いてWebinarを開いてくれるということを知り参加してきました。
セミナータイトルはずばり!
Low back pain rehabilitation: how can ‘physical’ rehabilitation professionals address ‘non-physical’ factors?
「腰痛リハビリテーション: ‘物理的’リハビリテーションの専門家は、‘非物理的’要因にどのように対処できるのか?」
とても内容も興味深く、私自身講義の最後に聞いてみたかった質問なども聞けたので、数回にわけて投稿していきます。
前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪
【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー
【前半戦後半】非物理的要因に対してセラピストは何をすべきか
1.後半戦はCognitive Functional Therapy
セミナーの後半は、Cognitive Functional Therapy(CFT)というアプローチ方法を実際にどのように理学療法士が用いていくことができるかの提案や可能性を講義してくださいました。その内容を覚えている限りでまとめていきたいと思います♪
2.Cognitive Functional Therapy(CFT)とは?
Cognitive Functional Therapy(CFT)は、慢性痛へのアプローチで用いられる治療法の一つです。方法としては、認知的側面(Cognitive Component),機能的側面(Functional Component),生活習慣的側面(Lifestyle Component)から構成されており,痛みの原因を身体だけでなく、心や生活環境も含めて捉え、患者が痛みと向き合い、恐怖を減らし、より自然に体を動かせるようサポートするアプローチになっています。
患者の自信(リジリエンス)を回復させ、日常生活の質を向上させることを目指す治療法です。
CFTの概要を知りたい方はこちらのピーター・オサリバンによる指導ビデオをながら聴きでもよいし字幕付きでも聞けるので、時間があるときにぜひみてみてください。(1時間ほどです)記事の最後にもリンクのせています。
3.具体的にCFTを理学療法の治療としてどう取り入れるの?
1. 痛みの理解 – 「Making Sense of Pain」
CFTにおいて最も基本となるのは、痛みそのものを理解するプロセスです。それでは、痛みについて出来るだけ理解してもらうために私たちはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか?
〇医学的な専門用語はNG
痛みの理解を進めるためには、技術的な医療用語を避け、患者に恐怖や不安を与えないことが重要です。例えば、スキャンや解剖学的な説明を通じて患者を脅かすのではなく、わかりやすく痛みを伝える方法を用います。
〇傾聴の重要性(Listening as much as telling)
CFTでは、痛みの説明において、患者の話を聞くことが非常に重要とされています。痛みについて単に説明するだけではなく、時間をかけて患者の話を聞くこと(Listening as much as telling)が大切です。患者が自分の痛みをどのように認識しているかを理解することで、より個別化された治療アプローチが可能になります。
〇「痛みは必ずしも危険ではない(Hurt is not harm)」という認識
CFTの重要な考え方の一つとして、「痛みがあるからといって必ずしも身体に危害が及んでいるわけではない」(Hurt is not harm)という概念があります。痛みは必ずしも怪我や病気を意味するわけではなく、身体や心の反応である場合があるため、この点を患者に理解してもらうことが必要です。
〇「人間らしさ(Humans, not just scans)」を忘れない
また、CFTでは患者を単なる症例やスキャン画像として扱うのではなく、「人間としての側面」を大切にすることが求められます(Humans, not just scans)。そのため、痛みの背景には感情的なストレスや生活習慣、認知の歪みなどが影響していることを考慮し、これらを一緒に解決していくことが治療の鍵です。
2. 動きの改善 – 「Movement」
痛みを抱える患者は、動くことに対して慎重になりがちです。このため、動作は遅く、非常に注意深く、そして多くのエネルギーを費やして行われます。しかし、痛みを感じない人々は、身体を気にすることなく動作を行い、背中や関節を「気をつけて」動かす必要がありません。
痛みを感じている人々の動作が遅い理由は、単に痛みに対する反応だけでなく、「正しく持ち上げるべき」「気をつけて動かなければならない」といった恐怖心を与えるような偏ったメッセージが与えられていることとも関連しています。
〇できることに焦点を当てる
CFTのアプローチでは、患者が「何ができないか」ではなく、「何ができるか」に焦点を当てます。患者はしばしば、自分の痛みのせいで動けないと感じることが多いですが、重要なのは、彼らが可能な範囲で動きを取り戻し、徐々に能力を拡大することです。
〇Functionに注目する
特に、「転がる、座る、立つ、曲げる」といった基本的な機能に注目することで、患者が自分の身体をより効率的に使えるようサポートします。いわゆる、小難しいことをやるんじゃなくて日常生活で行う動作をやろうってことですよね。
〇個別対応が重要
CFTの動きの改善プログラムでは、患者一人ひとりのニーズや身体的な制約に合わせて、特定の動作に焦点を当てます。一般的な運動やリハビリテーションではなく、各個人の状況に合わせたアプローチが非常に重要です。
何だか長くなりそうなので、前半戦の様に数回に分けて投稿していきたいと思います!
ここまで読んでくださいありがとうございました!
前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪
【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー
【前半戦後半】非物理的要因に対してセラピストは何をすべきか