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北欧における移民への認知症ケア:文化と言語の壁を越える取り組み

公式の北欧諸国協力に関するウェブサイト norden.org に2020年にPublishされた興味深い認知症関連ハンドブックがあったので、ご紹介させていただきます(^_^)/

北欧福祉センターが作成したもので、ずばりタイトルは【移民者への認知症ケア】(2020年版)

他人事ではないなぁと思ったので、必要な方にこの情報が届いたらなぁ・・・と思います。


1.北欧諸国で増加する移民の認知症患者

北欧諸国では、1960年代から1980年代にかけて移住してきた移民が高齢化し、認知症を発症するケースが増加しています。この背景には、移民の高齢化が進む中で、彼らが北欧出身者と同様に認知症のリスクを抱えている一方、医療や介護サービスの利用率が低い現状があります。北欧ではすべての人が平等に質の高い医療・介護サービスを受ける権利が保障されているものの、文化的・言語的な障壁が移民に対するケアの質を制約しています。

認知症患者にとって、個人中心のケアが特に重要とされる一方で、移民患者のケアには、文化的な背景を理解し、尊重することが必要不可欠です。本記事では、北欧諸国が直面している移民の認知症ケアにおける課題と、それを解決するための具体的な取り組みを紹介します。


2.文化的背景と認知症ケアの課題

移民に対する認知症ケアにおいて、大きな課題の一つが、文化的な違いによるケアのアプローチの難しさです。多くの移民文化では、認知症が自然な老化現象や精神疾患、さらには宗教的・超自然的な力に関連すると考えられ、西洋医学的な診断や治療を受け入れることが困難な場合があります。

また、家族中心主義の文化では、家族が認知症患者のケアを担うことが当然視されており、外部の介護サービスを利用することに対する抵抗が強いケースが見られます。さらに、宗教的信念がケアに影響を及ぼすこともあります。例えば、イスラム教徒やユダヤ教徒の移民には、食事制限や宗教行事に配慮したケアが求められる場合があります。このような文化的な違いを理解し、移民患者のニーズに応じたケアを提供することが不可欠です。


3.言語の壁とコミュニケーションの重要性

認知症ケアにおいて、言語の壁も大きな課題です。認知症が進行すると、患者は後から学んだ言語よりも母語に頼る傾向がありますが、介護者が患者の母語を理解できない場合、日常的な意思疎通が困難になります。この結果、患者は孤立感や疎外感を抱くことが増え、ケアの質が低下する可能性があります。

さらに、医療や介護に関する専門用語の理解が難しいため、移民患者やその家族が適切な治療や介護サービスを選択できないことも問題です。医療現場での通訳の不足や、十分な言語支援がないまま決断を迫られる状況も、患者や家族にとって大きなストレスとなります。質の高いケアを実現するためには、言語の障壁を取り除き、スムーズなコミュニケーションを確保することが重要です。


4.個別ケアを実現するための具体的な解決策

文化的背景や宗教的価値観を尊重したケア:

患者の食事、服装、宗教行事に配慮し、安心して生活できる環境を整える。

多言語対応スタッフの増員と質の高い通訳サービス:

母語でのコミュニケーションを可能にするため、適切な言語サポートを提供する。

デジタル翻訳ツールの活用:

デジタル翻訳ツールを利用する際は、正確性に注意しつつ補助的に活用する。

非言語的コミュニケーションの活用:

表情やジェスチャーなど、言葉以外のコミュニケーションを積極的に使い、意思疎通を図る。

家族への継続的なサポート:

認知症に関する情報提供やケアの選択肢を説明し、家族との協力関係を築くことで、安心できるケア環境を提供する。


以上、簡単にですがまとめてみました。

次回は、「じゃぁ実際のとこはどうなの?」という部分について。回復期リハで働く私自身の移民背景の患者さん、そして移民認知症患者さんに対するサポート状況をご紹介したいと思います!

それではまた!



参考文献
https://norden.diva-portal.org/smash/get/diva2:1422753/FULLTEXT01.pdf


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