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【ボクシング】クロフォードは初回に左を隠し、スペンスを解析した

☆7月29日(日本時間30日)/アメリカ・ネバダ州ラスベガス/T-モバイル・アリーナ
TGBプロモーション
4団体統一世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦
○テレンス・クロフォード(アメリカ)WBOチャンピオン
●エロール・スペンスJr.(アメリカ)IBF・WBC・WBAスーパーチャンピオン
TKO9回2分32秒

 2回に1度、7回に2度のダウンを奪ったクロフォードが、8回までのジャッジ三者のスコアも79対70とかぎりなくパーフェクトに押さえる圧勝劇に終えた。「接戦」を予想された中でのこの展開は、クロフォードの超人的強さばかりを印象づけるものとなったが、スペンスの恐ろしさを彼が感じ取っていたからゆえだったと個人的に思う。

 4回にはすでにかなりのダメージを抱えていたスペンスを、クロフォードがいつ仕留めるのか。およそ2万人を収容した会場はおろか、全世界のボクシング&スポーツファンが、ほぼ趨勢の決まった試合の決着の時を、固唾を飲んで見守っていたことだろう。

 一方的に着々と、ライバルを打ち据えていくクロフォード。顔面を真っ赤に腫らし、鼻血も流しながら逆転の目を諦めないスペンス。凄惨さすら感じてしまった展開だったが、一気に試合を決めにいかないクロフォードのこの戦いぶりこそが彼の恐ろしさであり、かつ、スペンスの底力を表していたとみる。

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