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【似非エッセイ】冬物語(厠編)
※写真=紙とアナラーの相性は案外重要。現在、重宝しているのはこれ。安くて多くて相性ピッタリ
この季節、トイレに赴くには決意が必要だ。
わが家に限って言えば、部屋の温度よりもトイレのそれは、確実に2℃は低い。今日でいえば、1.5-2だから零下に突入している。自然、ちそちそも縮み上がるし、ましてや尻を丸出しにするなんてオウンゴール行為。一大決心が要るし、心理的にお手洗いは遠のいて腸内が大渋滞となる。
「出したくても出ない」のも辛いだろうが、「出るのに出さない」のもキツイ。昔のボクサーと飽食時代のボクサーの減量に向き合う状態の対比に近い。
飛行機に乗る前のように(※あくまでも個人的に)「よし!」とかなりの気合を入れて向かう。スウェットのパンツ、股引、パンティ(ちゃんと男物だけど)、これらをひとつずつ下ろすなんてめんどくさい。全裸で横たわる憧れの女子大生を前にした童貞高校生のごとく、一気に3枚重ねで下げると同時にしゃがむ。そして幸いなことに、今は胃腸の調子がすこぶる良いから、ひと力みでポンとブラウンバナナが飛び出してくれる。こうしてショートカットにショートカットを重ねて、極力寒い時間を減らす。冬のオレの尻は実に優秀なのだ。
しかし、胃腸の調子が悪いときは“出”も良くないし、紙の使用量が膨大になる。拭いても拭いても拭き終わらないからだ。そんなときはおしりふきのCMを思い出す。「拭いても拭いても…」のフレーズに、赤ちゃんがケタケタ笑う声がかぶさるアレ(もうやってない?)だ。CM嫌いのはずなのに、このときばかりは毎度、頭の中にあの音がよみがえる。まんまとコピーライターたちの術中にハマってしまったということだ。こっちは「拭いても拭いても」の後に、舌打ちして紙を投げ捨てるのだけれども。
そうしてようやく納得いく状態になったとき、今度は切れ痔だったり、紙詰まりに悩まされたりする。水が逆流してきて溢れ出る寸前になったこともあった。そのときは数秒後の惨劇を一瞬にしてイメージし、ロマチェンコのごとく瞬時にすっぽんを取り出して突っ込み、事なきを得たのだった。
人間、本当に追い込まれたときは、見たこともない力を発揮するもの。これがほんとの「厠のくそぢから」だと、自分でも感心したものだ。
ウォシュレットは、日本が生んだ素晴らしい開発品だ。最近では駅のトイレにもだいたい設置されており、大変重宝している。会社務めのときもそうだった。家でしゃがまず、会社まで我慢するなんてことも日常茶飯事だった。でも、何となくだけど、「肛門力」が弱くなる気がした。水(温水)を当てると刺激を受けるが、あれで肛門の筋肉が弛緩するのかなんなのか。コロナ禍前、毎日出社して日常的に使用していた時期は、バナナを断ち切る力が弱まっていた気がする。これもあくまでも、感覚的なものなんだけど。
それでもこの時期は、ウォシュレットと便座が暖かいやつ(ウォームレットっていうらしい)が恋しくなる。宝くじが当たったら、真っ先にトイレを改造したいとも思う。その前に、宝くじを買わなきゃ始まらないんだけれども。
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