愛のあとに
ふりかえらなかったあの夜
たちどまることさえせずに歩いた道
呼びとめてくれることを
期待していたあの日
滲んだ視界にいくつかのひかりが
ふたりの別れを悲しむかのように
つめたい色で輝いていた
通り過ぎる景色には
ひとつずつ記憶が刻まれている
忘れることなどできずに
ほら今もあなたの好きな歌を
ひとり繰り返している
雨がふりはじめると
思い出すあなたの横顔
傘を差しながら白い息を吐いた唇
何度聞き返しただろう
あなたのあの言葉
今愛する意味を知ったのだと
もしもあなたの隣にあの人が
笑っているなら
その笑顔を守ってて
それだけが望みなの
愛のことなど私は知らない
だけど胸はこうして痛む
過ぎた愛が残すものは
きっとこの痛みなんだね
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