シェア
ふじこ
2021年8月27日 17:04
ひどく青ざめた夕暮れ 黒い蝶が飛んでいく街にひとはおらず にもかかわらず 億の眼に見つめられている足先に踏みにじられたケシの花 誰にも摘まれることもなく 踏まれ 雨に打たれ それでも花を増やす歩道に煙草の灰を落とす 億の眼がささやきだす僕は背後を振り向く 電柱の影が揺れ 工場の煙が赤く染まり 億の眼がささやきだす億の眼は僕を裁きだす 神でも法でもない億の眼に僕は裁かれる煙草を落とし ケ
2021年7月8日 14:05
昨日友だちに君の話をしたんだ君のために捨てられるものを話した狂ってるよ、とからかわれたけど僕は笑わなかったよ誰にも理解されないだろう理解されようとも思わない君以外にはあと2m、1m、50センチ君の髪の香りが感じられるくらいの距離だけど君が怖がるといけないから近づけない 声をかけられない僕は通りすがりの人間を演じるだけ君を知ってから 日記を書き始めた言葉で君を閉じ込める
2020年12月15日 12:52
「片隅の絵葉書」透き通った朝方 ふいに目覚めてあなたの夢で 目が覚めて青く暗い部屋に ひとりでいる自分自身が とても不憫に思えた望むものは 多くなかったはずただあなたの部屋を飾るもののように壁に留めた 片隅の絵葉書のようにただ、そばにいたかった初めから 予感がしていたのあなたは いつか離れると会話が途切れて 窓外の雨を見るあなたの横顔が とても悲しかったから誰も必要とし