土谷 伸司

中堅中小企業、NPO、地方自体体などITに強くない組織が、ITを使いこなして業績を挙げるためのDX経営支援をやっています。

土谷 伸司

中堅中小企業、NPO、地方自体体などITに強くない組織が、ITを使いこなして業績を挙げるためのDX経営支援をやっています。

最近の記事

キーボード操作が遅いならAIでカバー

アンケートで浮かび上がった「使えないおじさん」の実像 以前、25歳から44歳までの従業員を対象に、従業員1,000人以上の企業で働くビジネスパーソンにアンケートを取り、同じ職場で働く50歳以上のITスキルについて何がストレスになるかを尋ねました。 ストレス要因の2位は「操作が遅い」、5位は「キーボードが打てない」でした。 また、最近60歳以上の再雇用を仲介するエージェントの方とも話をしました。この方は60歳を超えていますが、この年齢層ではDXのような新しいことを覚えても

    • やりたいことをやってから死ぬ ~コッポラ監督の「メガロポリス」に思うこと

      今回はフランシス・フォード・コッポラ監督の新作映画「メガロポリス」を取り上げます。 フランシス・フォード・コッポラ監督映画好きでないとコッポラついてよく知らないかもしれないので、簡単に業績を紹介します。 フランシス・フォード・コッポラの作品は、主要な映画ランキングで高い評価を受けています。英国映画協会(BFI)が10年ごとに発表する「映画監督が選ぶ史上最高の映画ベスト100」の2022年版では、『ゴッドファーザー』(1972年)が第3位、『地獄の黙示録』(1979年)が第

      • 脳のはたらきは若い頃にピークを迎えるわけではない

        脳のピーク年齢についての新たな視点企業のDXを支援することが多く、ITリテラシーの向上がテーマのひとつになります。特に伝統的な日本企業では、管理職の大半を占める中高年、概ね40歳や50歳を超えた層では、年齢を理由に「ITなど新しいことはなかなか学べない」と考えている人が少なくありません。ただし、最新の脳科学ではそうとも言えない現実が見えてきています。 私たちの多くは、脳のピーク年齢が20代や30代に訪れ、それ以降は下降線をたどると信じています。しかし、最近の研究や実例を見る

        • DXの定義はもっとシンプルでいいのでは?

          研修で伝えるDXの定義DXを推進するためにITリテラシーを高めたいと要望する法人に対して、コンサルティングや研修を実施することがあります。 今月、2025年1月には神奈川県愛川町で研修を実施する予定です。 当然ながら、冒頭でDXとは何かという説明をするのですが、私は「組織目標を達成するためにITを活用すること」と説明することにしています。 あまりにも単純で拍子抜けするかもしれませんが、私が支援する組織の多くは、そもそもITが得意でないのです。 というのも、たとえ東証プ

          読書メモ:「60歳の迎え方」

          私がパートナーをさせてもらっているライフシフトジャパン(株)の取締役であり、日頃お世話になっている河野さんが書籍を上梓されたので、取り上げたいと思います。 人生100年時代の到来 人生100年時代が到来し、思っていたよりも長生きする可能性が高まりました。しかし、そのことを嬉しく思うよりも、不安が先に立つ場合が多いようです。 人生を、社会に出るまでの期間、社会に出て働く期間、引退後の老後の期間という従来の「3ステージモデル」で考えると、定年が延長されつつあるとはいえ、老後は

          読書メモ:「60歳の迎え方」

          自己効力感を意識して目標を立てる

          年初の目標設定を具体的に行うにあたり、特に意識している「自己効力感」について書いてみます。 SMARTの法則 目標設定と聞くと、よく知られている「SMARTの法則」を思い浮かべます。 SMARTの法則 Specific:行動を具体的に表す Measurable:数値で表す Achievable:達成可能な設定にする Relevant:組織の役に立つ内容にする Time-bound:期限を明確に設定する 20年近く前、当時の上司から目標管理制度に基づいて目標を設

          自己効力感を意識して目標を立てる

          DXの出発点:ペーパーレスの勘所

          ペーパーレスはDXの第一歩 DXを進める組織において、本来の意味での組織の変革、すなわちDXの「X」には程遠い状態ながら、「組織変革」と言っても何をすれば良いかわからないケースも多いようです。その結果、DXの第一歩としてペーパーレス化に取り組む事例は多いのではないでしょうか。 紙で印刷していた資料を電子化するというペーパーレス化は、誰にとっても分かりやすい取り組みです。また、ペーパーレス化の過程では、紙の印刷につながる業務を改善する必要が生じ、印刷枚数の削減量を測定すること

          DXの出発点:ペーパーレスの勘所

          生成AIに関するルール定着の秘訣

          法人のDX支援を主な仕事としており、生成AIの導入に関してもDX部門の担当マネージャーを支援した経験があります。 セキュリティやコンプライアンスに厳しい環境だったため、ChatGPTなどの生成AIを導入する際には、利用者ガイドラインをきちんと定めて周知した上で展開しました。 日本ディープラーニング協会(JDLA)が公開しているガイドラインは非常によくできており、これをベースにしました。 https://www.jdla.org/document/#ai-guideline

          生成AIに関するルール定着の秘訣

          マイノリティ・リポートの世界が現実に

          2025年1月10日付のオンライン新聞記事で という記事が掲載されました。 スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で2002年に製作されたSF映画「マイノリティ・レポート」の世界が現実になった、と感じました。 映画の舞台は2054年。予知能力者を利用して凶悪犯罪を予知する画期的なシステムが開発され、ワシントンDCでは犯罪予防局が犯人を事前に逮捕することで、犯罪件数は激減していました。そんなある日、犯罪予防局の凄腕捜査官ジョン・アンダートン(トム・クルーズが演

          マイノリティ・リポートの世界が現実に

          シニアミドルのリスキリングは転職に役立つか?

          40歳を超えるとリスキリングでは転職できない ここでは、リスキリングを「経験を積んだビジネスパーソンが、IT関連の知識を身につけること」と、かなり狭義に定義しています。大手企業がDX人材育成を検討したときに相談に乗ったことがあります。その会社ではあらゆる年齢層を対象に、敢えていえば、投資のリターンが得やすいと思える中堅以下に主眼を置いていました。リスキリングという用語を使うことに関しては、年齢の高い層を対象にしている印象を受けるので使いたくないと仰っていました。 逆にいえ

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          リスキリングの”リ”について

          リスキリングを学び直しの違い 仕事でDX向けたに従業員のリスキリングに関する相談を受けることがあり、リスキリングについて書籍で調べる機会ももったのですが、書籍によっては、リスキリングと学び直しは違うものだと、解説しています。 違いを整理すると、以下の通りになるようです。 リスキリング(Reskilling) 定義: 新しい仕事や役割に必要なスキルを習得すること。 目的: 現在の職務や業界から変化が求められたときに、新しいスキルを身につけて適応する。 背景: 主にデ

          リスキリングの”リ”について

          2025年初の抱負 ~自分を信じる

          note事務局から「2025年の抱負を書きましょう」というメールが届き、「なるほど、そうだよね、そうした方がいいよね」と思いました。しかし、まだここで宣言するほど抱負が固まっていないので、ベースになる考え方だけを書いておきます。 菊池雄星や大谷翔平を育てた花巻東高校            ~ドリームキラーと逆のことをする 昨年12月に視聴したYouTubeで、大リーガーとして成功している菊池雄星のインタビューがありました。その中で、花巻東高校が菊池雄星、大谷翔平など優れた

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          ゴルディアスの結び目 ~どこまで奇抜なアイデアがよいのか、価格戦略を材用に考えてみる

          ゴルディアスの結び目とは? 紀元前4世紀、アレキサンダー大王がフリギアにあるゴルディオンという町を訪れた際、彼は一つの伝説に遭遇しました。それは、複雑に絡み合った大きな縄の結び目で、この結び目を解いた者がアジアを征服するというものでした。この結び目は非常に複雑で、誰も解くことができませんでした。   アレキサンダーはこの挑戦を受け、結び目に向かいました。彼は結び目を解こうとするのではなく、剣を抜いて結び目を一刀両断にしました。この行動は、従来の手法にとらわれず、誰も思いつか

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          DX人材について思うこと ~ビジネススキルが置き去りでは?~

          仕事でDXに関わる人材の評価基準を考える必要があり、「DX白書2023年版」を調べたものの、探した記述が見当たりませんでした。 見落としの可能性もあるのですが、記載されていたのはDXを推進する人材の質と量がどれだけ確保されているかという企業向けのアンケートの結果と、DX人材の育成方法についての調査結果でした。 評価基準の有無についても調査されており、日本企業の場合、DX人材の評価基準があると答えたのは12%にとどまっています。DX人材が備えているべきスキルの定義もされてい

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          アンケート結果:ベテラン社員に対する周囲の見方(2)

          企業で働く若手・中堅社員が、50歳以上のベテラン社員とのコミュニケーションに関して感じているストレスについて具体的内容を掘り下げて調査しました。前回に引き続き、ネットでのアンケート結果を共有します。 コミュニケーション上のストレス原因について尋ねています。 Q.あなたと同じ企業で働いている50代以上の社員や役員の方との「コミュニケーション」にストレスを感じている理由をすべてお選びください。 次にITスキルについて掘り下げています。 Q.あなたと同じ企業で働いている50

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          アンケート結果:ベテラン社員に対する周囲の見方(1)

          企業で働く若手・中堅社員が、50歳以上のベテラン社員とのコミュニケーションに関して感じているストレスについてネット上で調査しました。 巷には「働かないおじさん」「使えないおじさん」などの言葉があり、まさにドンピシャのオジサンである私としては、エイジハラスメントだと憤る気持ちが沸き上がるものの、安易に否定もできません。アンケートで実態を明らかにすることにしました。 50歳以上のひと(おじさんとは限らずおばさんも含みます)といっしょに働いている、より若い世代の人たち(25-4

          アンケート結果:ベテラン社員に対する周囲の見方(1)