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ぶっちゃけトーク|M&Aの経営者保証トラブル、誰が悪いんだ?

朝日新聞デジタルでは、たびたびM&Aトラブルの特集が組まれていて、「えええええ!!!!こんなトラブルがあるのおおおお!!!!?」と震えながら読んでいます。

トラブルの大半が「経営者保証が解除されない」「売り手の資金を買い手に抜かれた」といったことが多いようです。信じられない…。。。。。

M&A締結後の経営者保証の解除は一般的。
ただし、契約書の内容が重要。

経営者保証に関するトラブルの多くは、以下のような流れだそうで。

売り手「経営者保証を解除するといったに、手続きされない!」
買い手「経営者保証の解除を努力するといったんでーす!」


で、こういった事態にならないように、売買契約書は存在するのだと思うのですが、朝日新聞デジタルの記事によると、売買契約書の経営者保証に関して以下のような内容が散見されたそうです。

速やかに保証の脱退に向けて最大限努力する

https://www.asahi.com/

素人の私が見ても、経営者保証の解除という重要な項目が、努力義務のみの記載なの…?と不安を覚えてしまう。。。

実際にあるケースの売り手さんは、「努力」という言葉が気になったそうです。ただ、仲介会社に紹介された専門家チェック(たしか税理士)を受けた内容であること、また買い手の都合で契約を急かされたそうで、そのまま売買契約を結んだそうです。

で、結局、永遠に契約者保証の解除は行われず、仲介会社は「締結後のことは知らん!」「買い手は紹介したけど、選んだのはあなたでしょ!」ということで取り合ってもらえず、もう泣き寝入りの状態のようです。。

こんなことが一般的なのか?と経営者保証について、アドバンストアイ株式会社のM&Aコンサルタントに率直に質問してみたのですが「うちじゃあり得ない」という返答。

M&Aは、会社と会社の売買。どのケースも同じということはなく、売り手の事情もあれば、買い手の事情もあり、売買契約書も事情に応じてアレンジする必要があるけど、必ず弁護士に契約内容の相談をしたり、チェックをしてもらうとのことでした。

M&A会社は仲介会社とアドバイザリー(助言)会社の2つの種類があるのですが、アドバンストアイ株式会社は後者のアドバイザリー(助言)会社です。

なので、わたしは仲介会社に関して詳しくはないのですが、売買契約書のチェックって、売り手の立場?買い手の立場?どちらの立場で内容をチェックするのでしょうか?

売買契約書はM&A会社が用意することが多いかと思いますが、仲介会社は、売り手と買い手を仲介する中立的な立場だと言われているわけで、売買契約書の中立性ってどういうことなのだろう。。。

弁護士の世界でいうと、AさんとBさんが裁判で争っている場合、同じ弁護士が双方の代理をすることは利益相反が生じるため、法律や職業倫理で規制されています。

M&Aの場合、売り手と買い手は争うわけではありませんが、「高く売りたい」と考える売り手と「安く買いたい」と考える買い手の利害は対立します。そのため利益相反が起こりやすく、なので、アドバンストアイは依頼者の利益に最大限に貢献するために、M&Aの仲介は行わず、どちらか一方と契約をするアドバイザリー業務を徹底しています。

契約書の内容がちゃんとしても…
約束をやぶる人はやぶる…

では、売買契約書の内容に「経営者保証を必ず解除してくれ」といった内容を盛り込んでおけばM&Aトラブルは回避されるのかというと、そういうわけではなく、朝日新聞デジタルの記事によると、契約が履行されないこともあるそうです。

契約書案には「保証を解除するよう最大限の努力を講じる」と書かれていた。努力だけでは困ると考え、「速やかに解除するよう講じる」との表現に改めた。買い手の代表が押印後すぐに金融機関を回ると仲介業者から約束され、それなら大丈夫と判断した。

 3行で数千万円の借り入れがあり、実質的に債務超過。そう相手に伝えて翌2月に契約したが、約束は守られなかった。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15988361.html?iref=mor_articlelink02

もう無茶苦茶。私が当事者なら、気が狂うと思います。このようなトラブルは、いったい誰が悪いのでしょうか。

経営者保証を解除しない買い手でしょうか?そんな買い手を紹介した仲介会社でしょうか。

個人的な意見ですが、こういったM&Aトラブルは、もちろん悪質な買い手が最も悪いし、さらにそんな悪質な買い手を紹介した仲介会社にも大きな責任があると思います。(一部報道によると、買い手チェックが十分に行われていなかったをケースもあるそう)

ただ、被害者である売り手側にも落ち度があると思います。例えば、買い手との2回目の面談でM&A契約を結んだり、買い手の事務所がレンタルオフィスであることに違和感がありながらも契約を進めたり、そもそも買い手からのデューデリが行われず、とにかく契約の締結を急かされ、そのまま進めてしまったり。

悪質だと指摘されている買い手会社のHPを見てみたのですが、本当に事業の実態はあるのだろうか…?という薄い内容で。(しかもデザインもボロくて、費用をかけていないことがわかるHP…)

M&Aで事業をどんどん大きくしようと考えているような会社であれば、HPだってちゃんとしているはずなのに。。どうして、そんなところに、自分の会社を売ろうと思ったのか、私は不思議でしょうがないです。。

なかには、売り手自らが、事前に買い手会社の財務調査をして、あまり財務状況がよくないと把握しているにもかかわらず、仲介会社に「たくさん現金を持っている会社だから大丈夫」と言われ、その言葉を信じた結果、トラブルに発展という事例もあり。

しかも「たくさん現金を持っている」というのは、買い手がただそういっているだけで、誰も財務に関する書類はチェックしなかったそうです。もう、、、どうしてなの…!!!!?

なので、仲介会社は必ずしも「売り手の味方ではない」ということを、売り手側は認識しておかなければならないし、多少費用がかかったとしても、契約書は弁護士にチェックしてもらうなど、何より買い手に違和感を感じたら取引をやめる決断をすることも大切なのではないでしょうか。

もちろん、売り手側にもさまざまな事情があると思います。だけど、大切な会社を任せるわけですから、そしてそれは、自分のことだけではなく、従業員の人生も左右することにもなるわけですから、売り手側もある程度のM&A知識を知っておくことは重要だと思います。

トラブルの多くが、売り手側が会社を売り急いでいる印象もあり、M&A成立に向けて十分な準備期間を確保しておくことも重要だと思うし、本当にこの人に自分の会社を任せて大丈夫か?と、相手を見極めることも大切だと思います。

最後に

朝日新聞デジタルの記事では、「M&Aの仲介業者は玉石混淆でM&Aの知識が乏しい営業担当者が多いこと、中立性が疑われる行動も目につく」とも指摘されています。

私もこれには、思うことがあって、それはまたの機会にしようと思うのですが、業界を健全化しようとしているのに、一方で、なんちゃってM&Aをやる人も増やしているという事実もあり、ああ、これも長くなりそうなので、本またの機会に。苦笑

とにかく、M&Aトラブルの記事を読んで、トラブルに遭われた経営者の方の気持ちを考えると、悲しい気持ちになりました。

私は広報という立場ですが、それでもM&A業界を片隅で10年以上みてきました。当時は、こんなトラブルが起こるなんて誰も想像できなかったと思います。中小企業の発展のためにも、だれでも安心してM&Aに取り組める健全な市場になることを願います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
引き続きどうぞよろしくお願いします。

あ、最後にPRを!
アドバンストアイは、M&A仲介ではなく、アドバイザリー(助言)会社になります。「今すぐM&Aというわけではないけど」「M&Aについてもっと詳しく知りたい」といった場合でもどうぞお気軽にご連絡ください!


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